調査・データ矢野経済研究所(東京都中野区)は10日、商用車の世界市場の調査を実施、主要国の市場概況、主要メーカー、主要輸送事業者の動向を発表した。
同調査によると、2023年の商用車の世界販売台数は1825万台で、前年比で11.7%増となった。世界における商用車市場の増減は、世界販売台数のおよそ70%を占める中国、欧州、米国市場の動向に左右されるが、とくに中国では排ガス規制「国6」が2023年から中国全土で適用が開始され、商用車の買い替え需要が発生。2024年以降は高速鉄道の普及により、バスの販売台数の大幅な増加は見込めないが、小型商用車やトラックは旺盛な貨物輸送需要から増加が見込まれる。世界全体では、中長期的に経済成長が期待される新興国が商用車市場の牽引役になると見る。
このうち、電動商用車(商用EV)の2023年の世界販売台数は105万7000台で、台数全体に占める電動化比率は5.8%。これまで、電動商用車は中国、欧州市場が中心となって市場を牽引し、販売台数を伸ばしてきたが、普及促進策の規模縮小に伴い、世界販売台数の成長率は鈍化してきている。しかし、貨物旅客輸送事業者の脱炭素化に貢献できるZEV[Zero Emission Vechile:BEV(電気自動車)、FCEV(燃料電池車)]を中心に需要は高まっていくとみられ、電動商用車特有の課題を解決することで中長期的には販売台数を伸ばしていく見通しだという。
なお、電動商用車特有の課題としては、販売価格の高さや積載量の低下、航続距離の短さなどが挙げられ、各国で対策が進んでいる。積載量に関しては、欧州や米国では、ZEVに限り、積載量制限の緩和が実施・検討されており、日本でも議論が進んでいる。航続距離に関しては、バッテリー交換方式の大型トラックが2023年に中国でおよそ5500台販売されるなど、社会実装が進み、日本でも商用車メーカー、エネルギー事業者が主体となって実証実験を実施。そのほか、走行中ワイヤレス給電などさまざまな充電方式が開発・検討されており、貨物旅客輸送事業者が安心して車両を運用できるインフラ整備が進んでいるという。
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