ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

不用品をアジア諸国へ輸出、物流サイクルの好循環

2024年10月24日 (木)

ロジスティクス不用になった家電製品や家具を一般家庭やオフィスから回収後、オークションへの出品や海外販売を代行したり、原料として再資源化したりする事業を展開するエコランド。同社はもともとウインローダー(運送会社)の一部門で、同社の代表であった、高嶋民仁氏が杉並区の清掃局でまだまだ使えるテレビデオが廃棄される実態を目の当たりにし「もったいない」と感じたことから始まった事業。ビジネスモデルとしては、ユーザーが不要になった大型の家具や家電を集荷する際、リユース代行手数料を負担してもらう形になる。

▲エコランドの取締役COOの趙勇樹氏

そんなエコランド(本社・東京都杉並区)の東村山支店(東京都東村山市)を訪ねると、倉庫には、輸出用40フィートコンテナへの積み込みを待つ冷蔵庫や家具などが所狭しと立ち並ぶ。施設を案内してくれたのはエコランドの取締役COOの趙勇樹氏だ。

不用品の回収から国内・海外での中古品販売に至るまでの流れは、ユーザーからのコールセンターに問い合わせの電話から始まる。

電話で同社の営業マンと相談し、回収日などを決定。関東エリアでは1都6県が対象で、まず同社がユーザーからの依頼を受けて、引越しや実家の片付け時などに大量に発生する不用品を回収する。続いて、回収した不用品に倉庫で1点ずつバーコードを貼付して管理。比較的劣化の度合いが低く、日本国内のオークションサイトで十分に売れる見込みのある回収品は、撮影から出品、落札者への配送までを同支店で処理する。一方で、日本では値段のつきにくい不用品はタイ、カンボジア、マレーシア、フィリピンなどへ輸出するという。趙氏によれば、海外では意外な日本の中古品が人気を博しているという。

「例えば、日本の婚礼家具は海外で非常に人気です。新旧のモデルに品質面で差がない上に、中古品でもきれいに使われていることが多いからです。また、ゴミとしての処分をためらう人も少なくない人形やぬいぐるみ、おもちゃ(玩具)なども海外ではとても喜ばれるアイテムです」

海外向けの出荷では、物流コストを低く抑えるための工夫も凝らしている。

「コンテナの積載効率を高めて物流コストを低く抑える目的で、食器棚など家具の中の空きスペースに食器や玩具を詰め込んだりして海の向こうに送っています」

▲一昔前はどこの家庭にもあったような家具が喜ばれる国がまだまだある

実際、記者は、コンテナにモノを詰めていく作業を見学させてもらったが、少しの隙間も発生させないようギチギチに、まるでパズルのように手際よくコンテナが埋まっていくシーンは見ていて爽快だった。

▲月間13本以上が輸出されるという40フィートコンテナの内部

趙氏はさらに「おもちゃ(玩具)は現在、一般家庭のみならず、東京都の東村山市、港区、渋谷区、江戸川区、神奈川県の横須賀市とも協力して回収しています。施設や学校、イベント会場などに持参してもらう仕組みです。コジマ・ビックカメラ東村山店さんとは回収ボックス設置で協業しています。今後は自治体との協定をどんどん増やしていきたいと考えています」と語った。

ゴミを減らす。処分に困ったモノは、まだ喜んでもらえる場所に届ける。いいことづくめのこの”おもちゃリユースプロジェクト”は始まって3年ほどだが、子供(兄弟)の多い東南アジア諸国の家庭、とりわけカンボジアではエコランドの直営店舗が進出していることもあって、日本のおもちゃが大人気なのだという。

おもちゃだけではない。日本の文房具を孤児院の子どもたちに寄付するプロジェクトもスタートした。こうした環境・社会貢献団体への支援活動は高く評価されるべきだろう。新興国では、衣類、机、椅子、冷蔵庫、マットレス、ベビーカー、鍵盤ハーモニカなどの物品を必要とする人々がまだ多いそうだ。

今回の取材で、リユースやリサイクルの現場を訪問し、法令を順守した上できちんと機能している仕組みが存在することがわかった。エコランドが2023年度に11万点以上の回収実績(その6割以上が輸出される)があることにも十分納得した。また、回収後に分別、再利用されることで新たな価値と物流サイクルを生み出すこのプロジェクトは、物流事業者にとって有益なだけでなく、社会にとってもSDGsへとつながる取り組みであると実感した。あなたの「いらない」が、誰かの「欲しい」につながる、この活動の今後のさらなる発展を期待したい。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com