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物流連、次期会長に川井正矩氏

2013年5月30日 (木)

話題日本物流団体連合会(物流連)は30日、次期会長に全国通運連盟の川合正矩会長が就任することになったと発表した。6月24日開催の総会終了時に就任する。

川合氏は2010年から物流連の副会長を務めており、全国通運連盟からの物流連会長就任は、初代会長の長岡毅氏、四代目会長の岡部正彦氏に続き、3人目となる。

■伊藤直彦会長の談話

伊藤直彦会長

伊藤直彦会長

平成23年6月に日本物流団体連合会会長に就任し、早いもので2年が経ちます。物流連は、総物流量の減少、労働力不足、輸送機関分担のアンバランス等の構造問題に向き合うため、トラック、鉄道、海運、倉庫等の各業界が結束し、横断的な課題の解決を図ることを目的として、平成3年9月に設立されました。私自身、物流連の発足以来、諸活動に参画してまいりました。特に会長として重責を担う立場になってからは、物流業界の国民への認知度向上、地位の向上に努めるべく、会員の皆様と共に活動してまいりました。

就任した年の3月11日には、千年に一度といわれた東日本大震災が発生しました。その際、物流業界は、それぞれが持てる力を最大限発揮し、国民の生活を守るために奮闘しました。その結果、物流ライフラインと言う言葉も定着しました。鉄道出身ということで申し上げますが、被災地が深刻な石油不足に陥った際には、横浜の製油所から日本海側の新潟と青森を経由して石油を運びました。1000キロにも及ぶ長距離輸送です。これは、140年の我が国の鉄道の歴史でも例がありません。正に鉄道魂を発揮してくれました。

災害大国日本、南海トラフ等の地震や津波等の災害に備え、物流業界でもBCP(事業継続計画)を定めておく必要があります。物流連でも、「自然災害時における物流業のBCP作成ガイドライン」をまとめ、国土交通省と連携して普及に努めてまいりました。

平成23年には、物流連が発足してから20年を迎えました。これまでの先輩方の活動を整理すべく、「物流連20年の歩み」を作成し、会員及び関係各所に配布しました。また、平成24年4月には、公益法人改革により、新たに「一般社団法人」として、スタートを切り、順調に活動しています。

今年7月には、5年ぶりに総合物流施策大綱が改訂されます。私自身も、色々な機会に意見を申し上げてまいりました。有識者検討委員会の提言では、「強い経済の再生と成長を支える物流システムの構築~国内外でムリ・ムダ・ムラのない全体最適な物流の実現~」という方向性が示されております。

昨年12月に安倍政権が誕生し、アベノミクス効果で日本経済が息を吹き返しつつあります。それを確実なものにするため、物流業界もまた変わらなくてはなりません。時代が何を求めるか、先取りする必要もあると思います。

次期会長に就任する川合正矩全国通運連盟会長は、“世界日通”を標榜する日本通運株式会社で代表取締役会長として活躍されておられる方で、私とは長い間の肝胆相照らす仲であります。少子高齢化の進展、国内産業の空洞化、地球環境汚染問題等、物流業界を取り巻く状況は厳しいものがありますが、今後の物流業界の発展のために最適のリーダーであります。期待をこめてバトンをお渡しいたします。

■川合正矩代表理事・副会長の談話

川井正矩次期会長

川井正矩次期会長

物流連七代目の会長に就任することになりました日本通運の川合正矩です。既に一昨年から代表理事・副会長として、伊藤会長と共にやってまいりましたが、今後は会長として引き続きよろしくお願いいたします。

会長をお引き受けするにあたり、いくつか考えておりますことを申し上げます。

まず第一には、歴代会長が取り組んでこられた(国民の多くの方々から)「物流を等身大で見ていただく」活動をさらに進めていきたい、という点です。東日本大震災からの復興の過程では、人々の暮らしにおける物流機能の大切さが、またサプライチェーンから、ロジスティクスの重要性が再認識されました。

私は、社会のIT化が進めば進むほど、ヒトが動かなければ完結しない物流事業の「集める」「保管する」「運ぶ」「届ける」という基本機能が改めて重要視されると考えています。システム化が高度に進もうとも、物流の品質には「ヒト」が欠かせない要素であり、ITとヒトの真心が融合してより高い価値を生むことが、物流業の真髄であると考えます。

これまでに引き続き、物流事業の価値を広く社会から認めていただくような活動を、まずは進めていきたいと考えております。

第二には、社会インフラとしての物流業界の機能をより高めていきたい、という点です。

現在政府内で検討されている「新型インフルエンザ等対策特別措置法」においては、陸海空の物流事業会社の多くが、公的医療機関や政府機関とともに「指定公共機関」として登録することが提案されています。これは、言い換えれば物流業界に、日本社会を危機から守ることを期待するものであり、物流連としても協力していきたいと考えております。

また、国土交通省にて開催された「新しい総合物流施策大綱の策定に向けた有識者検討委員会」は、昨年11月より7回の検討委員会を経て、4月30日に提言が取りまとめられました。今後、物流連としてもその推進に向けて活動を進めていきたいと思います。

これらの取り組みは一企業、一業態の単位では完結しないものであり、企業・業界と連携し、政府・省庁とも協力体制を取りながら、活動を進めていきたいと考えております。

第三としては、国内は勿論のこと、今後は国際的な活動も強化していく、という点です。

物流連は発足22年となりますが、この間、多くの物流企業は海外、とりわけアジア各国での活動を拡大し、収益全体に占める割合も大きくなっています。一方で、制度や社会の相違から、日本で進めていた事業が必ずしも目論見通りに進まない事態も多く生じているのではないでしょうか。

物流連では昨年3月より、業務改善委員会を国際業務委員会へと改組し、新たな活動を開始しました。現在、政府や経済界レベルでは、日中韓の3カ国でシャーシの相互通行など効率的な国際複合一貫輸送を可能とする取り組みを進めるほか、発展途上国を中心とした法令改善・規制緩和にむけた提案・折衝などを展開しておりますが、物流連としても進めるべき課題と方法を整理し、関係先との連携や、提言等をしていきたいと考えております。

物流連は業態の違う企業、団体の連合体であり、会員企業・団体や関係先の方々の協力があって初めて機能するものです。皆様の絶大なる協力をお願いし、挨拶とさせていただきます。

以上ご案内申し上げます。

関係する皆様方のご理解を賜り、また、引き続き当連合会へのご支援ご協力をいただきますようよろしくお願い申し上げます。