荷主安川電機(北九州市八幡西区)は7日、電動自動車(EV)の床面に取り付けられることが多い大容量バッテリー組み付けに対応したスカラロボットMOTOMAN-ME1000を開発、同日から販売を開始したと発表した。1トンの重さの部品でも水平を保つことができ、地上と同一面までアームを下降させられるため、車体床面へのバッテリー取り付け作業の支援や自動化が可能になる。
EV車の走行距離を伸ばしたり充電回数の頻度を減らしたりするには、バッテリーを大容量化することが必要だが、大容量化によってバッテリー質量が500キロを超えるようになった。このため、重いバッテリーを車体の床面に取り付ける作業が、製造工程の中で効率化や自動化を進めるうえでの課題となっている。
開発したロボットは、バッテリーとバッテリーをつかむハンド部の合計可搬質量が1トンで、業界初の可搬質量を実現。バッテリーの取付けは、車体床面付近の上下に狭い範囲での作業となることから、水平方向の稼働に有利なスカラ(水平多関節)機構を採用し、最大リーチ2440ミリを確保した。
また、2メートルを超えるアームの先端に1トン近い重さがかかると、ロボット全体のたわみによって搬送物を水平に保つことが難しくなる。しかし、たわみによる傾斜を補正する軸を加え、組み付け時や荷物の移動時に、水平さを保てるようにした。
さらに、スカラ機構はロボットアームの自重を支えるため、駆動軸に掛かる負荷がなくなり、消費電力を削減できる。ロボットアームの旋回動作範囲を必要最小限にしたことで省スペース化が可能になったほか、重さが3.25トンと他の多関節ロボットと比べ軽量で、設置工事の負担を軽減する。
同社はEV、PHEVなど電動自動車へのバッテリー組み付け現場への導入を想定しているが、EVバッテリー以外の重量物の搬送にも活用できる。
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