調査・データ矢野経済研究所は25日、国内の業種・職種別人材ビジネス市場(5市場計)について、2023年度は事業者売上高ベースで4兆2151億円だったと推計する調査報告書を公表した。多くの業界・企業で事業活動が正常化したことによって、前年度比2.9%増となった。
対象となるのは、技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービスの5市場で、このうち、技術者派遣と製造派遣・請負、介護人材の3市場が前年に比べ増加した。営業・販売支援人材は需要の高い携帯電話ショップ向け人材の需要が落ち込んだことや、派遣スタッフの確保が困難になったことで、売り上げが落ち込んだ。医療人材も、コロナ対応での需要が減ったことから、売り上げが縮小した。
5市場以外では、建設業界向け人材サービス市場の規模が事業者売上高ベースで前年度比3.6%増の5800億円となった。
同市場は20年度から21年度にかけて、東京オリンピック・パラリンピック関連工事や東日本大震災の復旧・復興工事の終了のほか、コロナ禍による作業の休止などによって売り上げが減少したが、22年度以降、大都市圏における再開発、地方でのインフラ整備、ゼネコンの人手不足などを背景に売り上げが回復している。
23年は、時間外労働の上限規制が24年から建設業にも適用されるのを前に、人手不足を見越した人員確保の需要が増えて、さらに市場は拡大した。しかし、もともとの労働力不足に加えて、労働力不足による工期の長期化、労務費の上昇や物価高などコスト増を理由とする着工の先送りなどが原因で、伸び率が鈍化した。
今後の見通しについて、5市場計は2024年度に前年度比3.3%増の4兆3,563億円が見込まれる。引き続き人材・労働力不足を背景に人材需要は高まるが、人材獲得競争の激化によって、派遣会社では派遣スタッフの確保、採用の難易度が高くなり、派遣会社の人材供給力の低下が懸念される。
一方で、求人需要の高まりから、派遣契約単価の上昇が見込まれ、市場の拡大に大きく寄与すると分析している。
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