調査・データ帝国データバンク(TDB)は4日、11月の景気動向調査を公表した。景気DIは前月比0.1ポイント増の44.4となり、小幅ながら2か月ぶりに改善した。工事関連や都市再開発などの好材料で「建設」「サービス」など6業界が改善し、運輸関連にも波及した。
11月は、災害復旧工事などがプラスとなる一方、耐久消費財が不調だったことなどが響き、わずかな改善にとどまった。建設関連や観光産業などが押し上げ要因となったほか、半導体向け需要の増加もプラス材料となった。
また、冬物商品が動き出したことでアパレル小売は大きく上向いた。しかし、一般家庭の節約志向は高く、家電や自動車など耐久消費財の販売が不調だった。さらに、人手不足や原材料価格の高騰なども下振れ材料となった。
今後について同社は「個人消費の動向が最も重要なポイントとなり、冬季賞与など実質賃金の継続的な上昇が消費意欲の持続に直結する」と指摘。金利や為替レート、株価、税制の見直しなどの影響にも注視する必要があるとしながら、今後の景気は、底堅く推移していくとの見方を示した。
プラス要因としては、観光産業の伸びや人手不足に対応する設備投資の拡大、リスキリングの浸透が労働市場の効率性を向上させる可能性がある。さらに生成AIの普及や半導体の需要拡大による技術革新は成長のけん引役として期待される。
一方、マイナス要因として、物流コストの上昇やインフレの進行が企業収益を圧迫し、消費者の購買意欲を削ぐ恐れがある。また、米国のトランプ新大統領の経済政策や中東情勢などもリスク要因だとした。
企業の規模別では、「中小企業」は改善し、「大企業」と「小規模企業」は横ばいだった。「中小企業」は、住宅建設や家賃の上昇などを受けた「建設」や「不動産」がけん引役となった。「大企業」では設備投資意欲の上向きがみられる。
地域別では九州など10地域中5地域が改善、北陸など3地域が横ばい、南関東など2地域が悪化した。都道府県別では26府県が改善、18都道県が悪化。半導体関連やインバウンド需要が地域経済の好材料となったが、設備投資の減少は悪材料だった。
熊本県が半導体製造のTSMC進出効果や観光客の増加などで、7か月ぶりに50台へ回復したのが目立った。神奈川県は、プロ野球、横浜ベイスターズの日本シリーズ優勝の経済効果が全体を押し上げた。
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