ロジスティクス日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は15日、新年賀詞交歓会を東京都千代田区の経団連会館で開催した。多くの会員や関係者らが新年のあいさつを交わしながら交流を深めたほか、国土交通省物流・自動車局の木村大官房審議官による基調講演も行われた。
講演ではまず、木村氏が近年の物流業界の変遷を概観し、平成から令和に至るまでのトラック輸送や国内貨物の推移を振り返りながら、労働環境の厳しさやドライバー不足が顕在化している現状を示し、特に2024年4月に適用開始となった労働時間上限規制が物流現場にもたらす影響を指摘。「労働負荷を抑えながら輸送効率を高めるためには、積載率の向上や待ち時間の削減だけでなく、再配達問題の解消なども重要になる」と話した。

▲国土交通省物流・自動車局の木村大官房審議官による基調講演の様子
国交省や政府全体の取り組みとしては、荷主や事業者の双方が運賃の適正収受を図ることの重要性を強調。物流の効率化と並行して、デジタル技術や環境対応の推進も欠かせない要素として語られた。自動運転やドローン輸送などの新技術を活用しながら、モーダルシフトや荷姿の標準化を積極的に進めることで、ドライバーの労働環境改善と環境負荷の軽減を両立する方針も示した。また、企業の経営戦略における物流の位置付けを見直すため、「物流統括管理者」(CLO)を置く意義にも触れ、荷主側も現場の実情を把握しながら、業界全体の生産性向上に貢献していく必要性を訴えた。

▲JILSの大橋徹二会長
基調講演後の賀詞交歓会の会場では、JILSの大橋徹二会長が主催者あいさつに立ち、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として「物流統括管理者連携推進会議」(J-CLOP)の立ち上げを改めて表明。さらに、高度物流人材の育成やSDGsへの取り組みといった多様な分野において、経営戦略の一環としてロジスティクスの強化と検証を進めていく必要性を提言した。

▲経済産業省商務・サービスグループ消費・流通政策課長の平林孝之氏
続いて、経済産業省商務・サービスグループ消費・流通政策課長の平林孝之氏は、ことし4月に開催される大阪・関西万博を例に挙げ、「最先端技術を発信するグローバルな舞台を盛り上げると同時に、社会課題を起点とした物流改革を引き続き推進していく」と意気込みを述べ、乾杯のあいさつを行った。
会場では、参加者同士が名刺交換を行いながら最新の業界情報を共有し、官民連携の在り方や具体的な改善策について活発な意見交換が行われた。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com