イベント「運輸安全・物流DX EXPO 2026」が27日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕した。その名の通り、会場には物流関係の安全対策やDX(デジタルトランスフォーメーション)に関連する最新の展示が多数並んでいる。

▲会場の様子
安全に関する領域では、従来の教育やドライブレコーダー(ドラレコ)などの展示に加え、ドライバーの業務負荷を軽減するソリューションが並んだ。例えば、LINE WORKSの「ラジャー」をはじめとする、音声や手書きでの入力をデジタルで共有できるサービスなどが展示されていた。業務のフローを変えることはワーカーへの負荷をかけてしまうことがあるが、LINE WORKSではAI-OCRを活用して各種手書き書類を電子化する「PaperOn」のような、負荷を生じさせずデジタル化、効率化を目指せるサービスも展開している。

▲LINE WORKS「ラジャー」のデモ
また、harmo(ハルモ、渋谷区)による通院・服薬管理システムや、NTTビジネスソリューションズ(大阪市都島区)が提供する睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策のトータル支援サービスなど、より踏み込んだ「健康」に特化したサービスの出展も見られた。

▲harmo、NTTビジネスソリューションズのブース
近年、心停止や脳出血などに起因する重大事故が発生していることから、健康管理は事故低減のための有用な施策として位置づけられている。同時に、従業員が健康に勤務できる環境を整えることは、労働環境の改善や働きやすい職場作りにも直結することから、多くの事業者が熱心に説明に耳を傾けていた。

▲GOドライブは「DRIVE CHART」「GO運転管理」などを展示
事故低減の具現化においては、ドラレコのインカメラや、AIドラレコによるリアルタイムのアラートなどが有用とされている。会場では、HOTaTECH(ホタテック、中央区)やGOドライブ(千代田区)がそれぞれ独自の特色を打ち出したサービスを提案し、来場者の関心を集めていた。

▲HOTaTECHは事故リスク検知のデモを実施
DX領域では、X Mile(クロスマイル、新宿区)が提供する「ロジポケ」や、アセンド(同)の「ロジックス」といったシステムが出展された。特にロジポケは、各企業ごとにオリジナルの動画を活用できる教育システムに強みを持っており、安全性の向上に高い効果を発揮するという。

▲X Mileの「ロジポケ」は運送業向けDXでは教育領域に強みを持つ
今回の展示会では運行管理システムなどのソフトウエア寄りの展示が目立ったが、その中でネクストデリバリー(山梨県小菅村)はドローン(無人航空機)の実機を展示した。同社はこれまで遠隔地や災害時における物資輸送に実際に携わってきた実績があり、その豊富な知見を生かした輸送ソリューションを提案するとともに、新機種の披露も行った。

▲ネクストデリバリーは新型のドローンを披露
運輸安全は、ひとたび事故を起こせばドライバーをはじめとする多くの人々の生命と安全を危険にさらすだけでなく、広範な社会的影響を及ぼすため、物流において最重要のトピックの1つである。近年はAIなどを活用することで実際に高い事故低減効果を上げるソリューションが登場しており、業界内での認知も急速に高まっている。貨物車両においても、新車に事故防止装置が標準装備されるケースが増えており、今後さらなる普及が望まれる。
一方でDXは、事業許可更新制の導入に伴って各種記録を確実に取りきり、深刻化する労働人口減少時代に向けて業務を効率化していくために欠かせない要素である。輸配送の現場において業務が効率化され、ドライバーの業務負荷が減ることは、働きやすさの向上につながるだけでなく、疲労などに起因する事故の発生を低減させる効果も期待できる。
つまり、「より安全な環境」と「より働きやすい環境」の構築は、次世代のドライバーが業界へ流入する可能性を高めるという意味において、どちらも地続きの課題なのである。激変する環境の中で事業継続を望む事業者は、安全対策とDXの双方を切り離すことなく、併せて推し進めていくことが必要不可欠だ。(土屋 悟)
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