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WMS「ci.Himalayas」、食品流通の複雑さに応える現場起点の実装と最適化

シーネットWMSは、なぜ「食品物流に強い」のか


2026年5月27日 (水)

話題EC(電子商取引)市場の拡大、冷凍冷蔵技術の進化、中食・外食需要や冷凍食品の利用急増など、低温物流(コールドチェーン)領域の活況は続く。その一方で、作業の効率化や人手不足に直面し、食品物流の現場では、単なる在庫・入出荷管理を超えた対応力が求められている。冷凍・冷蔵・定温といった温度帯管理による品質保持はもちろん、賞味期限や、ロット管理、店舗ごとの細かな出荷条件、省人化対応まで、センター運営に課される条件は年々厳しさを増している。とりわけ外食や小売向けの物流では、ケース単位だけでなくバラ品の取り扱いも多く、現場オペレーションは複雑になる。こうした食品物流特有の難しさに対し、どこまで現実的な運用設計ができるかが、WMS(倉庫管理システム)選定の大きな分岐点になっている。

シーネットは、この食品物流領域で長年の知見を蓄積してきたWMSベンダーである。同社のクラウド型WMS「ci.Himalayas/R2」は、クラウド型WMS売上シェア14年連続1位(※1)を獲得。ci.Himalayas/R2を基盤に、食品流通機能を強化したモデル「ci.Himalayas/X」も展開し、多様化する現場要件への対応力を広げている。クラウド型WMS市場における評価と実績は、多様な現場知見の厚さを示している。食品物流向けWMSを検討する際、同社のWMSは有力な選択肢の一つとなっている。

※1…デロイトトーマツミック経済研究所「スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望 2025年度版」

数々の現場ニーズをフィードバックした標準機能を備えるのは、同社WMSの大きな強みであるが、それだけではない。同社の強みは「食品物流の現場で何が本当にボトルネックになるのかを理解し、現場に落とし込める提案力と伴走力にある」と、シーネットコネクトサービス(千葉市美浜区)社長の鈴木喬氏はいう。鈴木氏は、シーネットで長年ci.Himalayasプロジェクトを推進し、「つなぐ」のコンセプトを新たにグループ会社で拡大する中心人物だ。

品質管理だけでは越えられない現場の壁

食品物流というと、品質管理機能そのものに注目が集まりがちである。しかし鈴木氏は「本質的な課題はそこだけではない」という。システム上、温度帯の区分管理や期限管理は、すでに多くのWMSで一定程度実装され、ソリューションごとの差異は見えにくくなっている。一方で、冷凍・冷蔵環境で実際に作業する現場には、依然として人手に頼らざるを得ない領域が多く残る。特に冷凍庫内では、作業者の身体負荷が大きく、長時間作業そのものが難しい。つまり低温物流で最も重視すべきなのは、「冷凍庫内に人をどれだけ長くいさせないか」(鈴木氏)という現場設計の思想だ。

ケース物については、自動倉庫やソーターとの連携によって自動化しやすい。一方、外食や小売で多いバラ品はそう簡単ではない。商品ごとの出荷頻度や入数、店舗ごとの注文傾向、不定貫商品の有無によって、最適な作業方法は変わる。すべてを一律に自動化すればよいわけではなく、人が担うべき領域と機械に任せるべき領域を見極め、その境界を設計する必要がある。食品物流に強いWMSとは、この複雑な判断を支える基盤でなければならない。さらに、膨大な商材を扱う現場では、1回ごとの処理スピードをコンマ単位で短縮することも重要だ。カタログ上のスペックで見落とされがちな“当たり前”を追求する姿勢も、経験の多さに鍛えられた同社ならではの強みなのである。

食品物流の「現場で使える正解」を導くWMS運用事例

▲物流の中核でクラウド連携を実現するci.Himalayas(出所:シーネット)

シーネットは、WMS単体で完結する発想ではなく、音声認識や各種マテハン、さらにはカメラソリューションなども含めた現場全体の最適化を志向している。近年は、低温環境下でも使える自動化マテハンも増加している。物流センターの新設案件では、自動倉庫、シャトル、ソーターといった省力化機器との連携は、もはや前提条件になりつつある。ただし、商品構成も出荷構成も異なる食品物流で、どの設備をどう組み合わせるべきかは一様ではない。シーネットは、現場課題を起点に「どのマテハンを、どうつなぎ、どう動かすかまで提案」でき、過酷な環境下での作業をできるだけなくすために、庫内全体を俯瞰して現場再編を後押しする。

その象徴的な考え方は、導入事例にも表れている。例えば、食品3PLとして3温度帯運用を長年手がけるアサヒロジスティクス(さいたま市中央区)は、冷凍自動倉庫を中核とした統一オペレーションを構築しており、外食分野の共配におけるパイオニアだと鈴木氏は紹介する。冷凍自動倉庫を起点に、荷主や拠点ごとに大きく方式を変えることなく標準化を徹底、どのセンターでも同じWMS、同じ作業思想で運営することで、品質の均一化と作業平準化を実現してきた。1センターで複数荷主、数千店規模の配送先を扱うような大規模運用でも、WMS側でバッチを組み、時間帯や荷主条件に応じて順序よく流す仕組みが支えている。

鈴木氏は、「荷主ごとに個別最適な仕組みを増やすのではなく、自社の運用基盤にデータを連携して統一運用する思想は、食品物流における再現性の高いモデル」と語る。荷主ごとにシステムや運用を複雑化せず標準化に徹し、平準化や品質向上、横展開を支える基盤としてWMSが機能している事例だ。

もう一つ注目されるのが、エイシン(福岡県粕屋町)の事例だ。同社は大手外食の物流を受託する業務用食品の3PL事業を展開し、3温度帯に対応した物流センター運営と店舗配送を行っている。拠点ではシーネットの音声システムを導入し、さらにバラ品の取り扱いには自動ピースソーター運用と組み合わせている。出荷量、タッチ率、ヒット率、商品特性に応じて音声システムとピースソーターとを使い分ける構成を採用して、生産性を大きく向上させた。

この事例が示すのは、単一の設備に依存しないハイブリッド運用の有効性である。自動ピースソーター運用による省人・作業迅速化・ミス削減効果は大きいが、すべてをソーターに載せれば効率が上がるわけではない。「商品特性によっては、まとめ取りしてオリコンへ投入した方が速く、不定貫商品、バーコード運用が難しいものも、音声指示で人手に頼る方が実用性が高い」(鈴木氏)。そのほかにも、冷凍庫内でハンディ端末の画面が見づらい、端末自体の耐寒対応に限界があるといった低温物流特有の制約を踏まえれば、音声、紙帳票、前室での二次仕分け、検品を含めた複合的な運用設計こそ、「過酷な現場に滞在しない」現実解になる場合もある。

食品物流におけるWMSの価値は、まさにこの「現場で使える解」を提示できる点にあると鈴木氏は語る。どの作業をマテハンに任せ、あるいは人が運用しやすいように配分し最適な運用を導き出すか。作業内容や商品特性に応じて、必要なデータを適切にひもづけ、最適な運用へ落とし込むことが重要であり、シーネットがこだわる領域でもある。

もちろん、食品物流において品質管理は依然として大前提である。賞味期限管理はもちろん、フードロス削減やSDGsの観点からも、在庫の持ち方や期限管理の精度はこれまで以上に重要になる。3温度帯にとどまらず、超冷凍からワイン向け低温まで、より繊細な区分対応も必要だ。アイテム単位で温度帯を管理し、保管期間や期限条件を細かく制御し、それをセンター運営の実務へ落とし込む力は、食品物流向けWMSの基本軸である。ただし、差がつくのはその管理機能を備えているかではない。それを過酷な現場で無理なく回る運用へ接続できるかどうかにある。

WMSの価値は庫内の先へ広がる

▲鈴木喬氏

自動化は確実に進み、食品物流におけるWMSの役割は重くなる。しかし同時に、「自動化しきれない領域、自動化しない方が良い領域も必ず残る。その残余領域をどう吸収し、現場全体を最適化するかが、これからのWMSに求められる」(鈴木氏)。

加えて今後は、庫内オペレーションを支えるだけでなく、そこで生まれるデータをどう蓄積し、どう整流化し、次の改善や上流・下流との連携に生かしていくかも重要になる。ツール提供にとどまらず、現場運用、データ活用、共同物流をつなぐ実装パートナーとしての立ち位置を強め、その中心となることは、WMS市場のリーダーが担うべき使命だ。庫内から運送領域への接続や、流通データの標準化を見据えた取り組みにも領域を広げ、その視線はセンター内の効率化だけにとどまらない。

食品物流は、波動が大きく、品質要件も厳しく、業態差も大きいなどシステム化が難しい。シーネットがこの分野で他を圧倒する評価を確立できたのは、本来ならあまり手をつけたくないこの領域にあえて踏み込み、早くから開拓し続けてきたからこその成果である。鈴木氏は、「機能面では似たようなことができても、一朝一夕には越えられない“差”がそこにはある」と指摘する。重要なのは、現場の困りごとをどこまで理解し、使える形に設計できるかだ。食品物流に強いWMSとは、その複雑さと厳しさを知り尽くし、人と設備とデータを現実的につなげられるシステムである。

さらにそのデータを庫内に閉じず、サプライチェーンの最適化へどうつないでいくかも問われる。シーネットの提案は、食品物流の足元の現場改善にとどまらず、データの整流化と標準化を土台に、物流全体最適へつなげていくものだ。そうした視点に立つ同社のWMSは、食品物流における有力な現実解のひとつと言える。

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