
▲共同検証の連携協定を締結した(左から)ヤマトホールディングス副社長の栗栖利蔵氏、北九州市長の武内和久氏、双日常務執行役員の橋本政和氏、ベータテクノロジーズCROのショーン・ホール氏(出所:双日)
ロジスティクスヤマトホールディングス(HD)は20日、2023年7月から物流連携協定を結んでいる北九州市、双日、ベータテクノロジーズ(アメリカ)とともに、北九州空港を拠点とした電動航空機による貨物輸送を共同検証すると発表した。同市の武内和久市長が言うところの「空飛ぶEVトラック」の実装を目指し、同空港を拠点とした離島などへの持続可能な物流ネットワークの構築を図る。

▲「ALIA CTOL」(出所:ベータテクノロジーズ)
検証は、北九州空港と宮崎空港間の片道280キロ区間で、アメリカの電動航空機ベンチャーのベータテクノロジーズが開発したeCTOL(イーシートール、電動固定翼機)「ALIA CTOL」を活用した貨物輸送を行う。同航空機はジェット燃料を使用せず、積載量560キロ、航続距離400キロを誇り、CO2排出ゼロの効率的な輸送手段として期待される。また、EVトラックの充電にも対応したベータ製のEV充電設備の運用検証も同時に進める。
検証期間は最長2年間に及ぶ予定で、試験飛行の許認可取得やベータ航空機を導入するための体制整備、全体の進行管理を共同検証の旗振り役である双日が務める。25年夏には試験飛行を開始する予定で、従来の輸送手段を電動航空機で代替した場合の経済的な合理性や、貨物搭降載などの運用面も検討していく。
ヤマトHDの栗栖利蔵副社長は記者会見で、北九州市との物流連携協定に基づく取り組みの一環として、今回のeCTOL導入が、離島を含めた持続可能な物流ネットワークの構築につながる可能性を強調。「日本に多く存在する離島に向けて、いかにコストをかけずに運べるか」を念頭に、電動航空機による貨物輸送の可能性を検証していくとした。航空機の規模や積載量は今後改良の余地はあるが、まずは「農産物などの一次産品を離島向けに」運ぶことを想定しているという。
武内市長は今回の連携協定を「北九州空港の次世代に向けた未来の空港づくりに向けた第一歩」と位置づけ、昨年に北九州空港でも運航が開始されたヤマトのフレイター(貨物専用機)とともに、同空港の物流ハブとしての新しい付加価値を提供できる取り組みであると評した。26年の実装を目標に、安全面も含めて検証していく。
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