
▲Hacobu代表取締役CEOの佐々木太郎氏
イベントHacobu(ハコブ、東京都港区)は24日、「Hacobu Innovation Day 2025」を開催。同社が提言するデータドリブン・ロジスティクスの実現に向けて、今年度を、現場最適の段階から会社最適、さらには社会最適へと進める物流ビッグデータ革命の幕開けに位置付けた。
イベント冒頭、代表取締役CEOの佐々木太郎氏は、長い間デジタル物流プラットフォームの必要性を訴え続けてきたことが、ようやく実を結び始めたと語り、ITが一部の技術者だけのものからたちまち一般にまで普及したのと同様に、今、物流も同じ転換点にあるとして、「2035年には、物流がデジタルにつながっていることが当たり前になっている」と、先陣を切る企業の取り組みに注目して欲しいと呼びかけた。
続くパネルディスカッションには、Hacobuに加えて、キリンビバレッジ、J-オイルミルズ、GROUNDが、データ活用による物流改革に不可欠なDX(デジタルトランスフォーメーション)、テクノロジーへの投資を、経営という観点からどう判断すべきかについて議論。
DXが注目されるカテゴリーごとに各社の取り組みを紹介し、「自動化・ロボティクス」「AI」カテゴリーについては、MonotaRO(モノタロウ)の施設自動化を手がけたGROUND取締役副社長の吉野宏樹氏の知見が語られた。「サステナビリティ」については、J-オイルミルズ執行役員SCM担当の畑谷一美氏が、ウイング車ではなくローリーでの輸送が主な植物油業界の特性などに合致した商慣行の見直しや、物流効率化の取り組みを紹介。キリンビバレッジ執行役員SCM部長の掛林正人氏からは、レベル4「自動運転」について「2027年ごろの実証を目指す」ことが語られた。

▲左からキリンビバレッジ掛林氏、J-オイルミルズ畑谷氏、GROUND吉野氏
こうした先進技術導入への投資の見極めの難しさ、「物流投資を通す難しさ」(掛林氏)も語られ、先を見越した先見性のあるビジネスモデル変革に向けて、議論や日々の改革を積み上げていくことの重要性が指摘された。
「物流ビッグデータ」による異業種連携事例を初公開
Hacobuは昨年、データドリブン・ロジスティクスを推進するために「物流ビッグデータラボ」を設立し、アスクル、キリンビバレッジ、スギ薬局、日本製紙、YKK APが取り組みに参画してデータ活用による共同物流を検討してきた。
今回のイベントでは、キリンビバレッジと日本製紙の異業種同士の共同輸配送プロジェクトの検証事例を公開。キリンビバレッジは関東から東北へ、日本製紙は東北から関東への輸送で帰り便の積載率の課題を解決する共同配送の候補ルートを、物流ビッグデータラボから導き出し、さらにその他の候補ルートの検証へと取り組みを進めていく。会場では、ビッグデータによる共同輸配送の候補ルート選定も実演された。
両社はビッグデータの活用価値について、共同輸送の検討に至るまでのスピード感、顕在化した課題だけではなく潜在的な課題などの新しい気付きを得ることができる網羅性、業界をまたいだ新たなマッチングの可能性の広がりを指摘。日本製紙営業企画本部物流部の庄司健一郎氏は、「ビッグデータはあくまでもきっかけ、ツールであり、実行には互いの信頼関係や社内体制の構築も重要」、キリンビバレッジSCM部 企画担当主務の森本貴一氏は、「変革する気概を持った志を持つ担当者同士の社内外の連携に期待」と語り、機能拡大につながる参加企業の広がりを呼びかけた。

▲左からキリンビバレッジ森本氏、日本製紙庄司氏
また、HacobuからはMOVO(ムーボ)シリーズの各ソリューションについて、効率化やシステム導入による企業利益への影響や、法改正などのガバナンスリスクへの対応を今年度の注力領域として、時代の変化に合わせたサービス強化を行なっていくことを解説。この日、トラック予約・受付システム「ムーボ・バース」に拠点横断アナリスト機能として、複数拠点の課題をいつでもすぐに確認、比較でき、課題の見える化と分析、対応につなげる機能を追加したことを発表。また、動態管理「ムーボ・フリート」では、荷物単位でのリアルタイム配送管理と積載データを活用し、配送案件ごとの積載率向上に役立つ機能や、「ムーボ・ビスタ」では、メールやFAXでの依頼書でもQRコードを利用して、法令に対応する実運送体制管理簿の一元管理が可能となる機能のリリースを間近に控えていることなども紹介。物流の改革を目指すネクストリーダーに最適なツールを提供していくことで、社会に貢献していく姿勢を示した。
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