話題東京まで50キロの久喜市と、その南に隣接し東京まで40キロの白岡市は、ともに埼玉県の東部、関東エリアの中心に位置する。都心へのアクセスに優れた東京圏の郊外都市として、充実した交通インフラが整備されていることから重要な物流拠点に位置付けられるエリアである。
巨大な消費圏である東京への配送利便性に優れるのはもちろん、首都圏における東北方面への玄関口であり、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)によって関東全域を配送ターゲットとできるなど、地場産業をはじめとする多様な物流ニーズに対応してきた。久喜市では早くから物流施設開発も進み、関東を代表する物流要衝としての評価も定着、隣接する白岡市でも近年、物流不動産市場が賑わいを見せ始めている。

▲「(仮称)T-LOGI白岡」の完成イメージ(出所:東京建物)
東京建物も、物流適地としてこのエリアに着目してきた。同社の物流ブランドT-LOGIシリーズを2020年に久喜市からスタートさせ、今新たに白岡市での開発に取り組んでいる。同社にとって両施設は、T-LOGIブランドコンセプト「とどける人の力になる。」を体現するもの。ユーザーとの対話を重視した開発、利便性の高い立地の厳選、最適な規模感や仕様など使いやすい施設提供、次世代を見据えた環境対策などのコンセプトに基づいた施設開発が、原点となる「T-LOGI久喜」から、現在進行形の「(仮称)T-LOGI白岡」の開発に至るまで貫かれている。
新たな物流要衝、白岡市の物流ポテンシャル
(仮称)T-LOGI白岡は、白岡市の白岡工業団地内に立地する。エリアを担当するロジスティクス事業部リーシンググループ兼事業グループ課長代理アレン・マイケル氏は、「圏央道・白岡菖蒲インターチェンジ(IC)まで3キロ、東北自動車道・久喜ICまで5.1キロと至近であり、関東全域の配送機能と東北方面への配送にも適した、まさに“久喜と並ぶ物流要衝・白岡”としてのポテンシャルを最大限に活用できる立地」と語る。
久喜と比較して物流施設市場としてはまだ新しい白岡市。しかし、東京都心への距離、関東全域へ向けての圏央道との接続利便性では、久喜市よりもむしろ優位性があり、新たな賃貸施設の供給が待ち望まれていたエリアである。

▲ロジスティクス事業部リーシンググループ兼事業グループ課長代理のアレン・マイケル氏
首都圏の医薬品、食料品需要を満たす事業も盛んな地域であり、その配送拠点としては、まさに格好の場所。物流事業者の独自拠点や自社物流施設を構えるメーカーが多く、マルチテナント型施設の供給数は、ニーズに対してまだまだ不足しているとアレン氏は語る。(仮称)T-LOGI白岡は、老朽化した自社施設からの移転、複数拠点の集約ニーズ、EC(電子商取引)需要の増加など、エリアの特性と時代の要請にも対応し、文字通り“久喜と並ぶ物流要衝・白岡”からの物流構築に貢献する。
「最適な場所に最適な施設開発を」の信念体現するT-LOGI白岡
(仮称)T-LOGI白岡は、敷地面積1万8050平方メートル、延床面積4万4066平方メートルの4階建て施設として26年2月末の竣工を目指す。
トラック車両の2階バースへの接車にはスロープが設けられ、施設へのスムーズな入退場を実現する構造が採用されている。1階と4階、2階と3階のメゾネット仕様で、機動性と保管能力をバランスよく兼ね備えた拠点設定が可能だ。こうした設計は、近隣エリアで先に稼働しているT-LOGI久喜でも同様の4層スロープのメゾネット構造を採用し、カスタマーからの評価も高かったもの。現場利用者の声や意見が、施設開発の随所に盛り込まれているのも、T-LOGIブランドのコンセプトを体現しているといえるだろう。
カスタマーとの「対話」を出発点とする開発思想について、物件を担当するロジスティクス事業部事業グループ主任丸山創平氏は、「駐車スペースの確保に悩む拠点利用者のニーズを反映し、駐車場用途で利用できるトラックバースを設けており、こんな風に使えたらいいのにといった現場の声のひとつひとつが生かされている」という。

▲ロジスティクス事業部事業グループ主任の丸山創平氏
賃貸区画としては最大4区画、最小区画として2400坪台の倉庫スペースから利用でき、比較的利用しやすい面積での運用から、メゾネットならではのセキュリティーの高い保管性能を利用したスケールの大きな専用倉庫的な運用まで、ユーザーごとの多様なニーズに応える。
分割可能な区画ごとに垂直搬送機と荷物用エレベーターが設置され、上下フロアへの機動力にも優れる。丸山氏は、「垂直搬送機は省スペース機能を備えたものを採用し、少しでも有効に倉庫スペースを使いたい利用者の思いを汲み、細部まで最大限こだわった」結果だという。
アレン氏は、「綺麗な長方形の倉庫を用意できたことも、運用面で使いやすさを認めてもらえるはず。フロアを見渡すだけで什器や自動化機器の配置を具体的にイメージができ、無駄なくスペースを使えるような運用アイデアを実現するのに役立つと考える。垂直搬送機のスペースを小さくした効用も、実際にレイアウトしてみて生きてくるのではないか」と語る。細かい配慮に至るまで、効率的な空間活用のためのこだわりが反映されているのだ。
“久喜と並ぶ物流要衝・白岡”に求められる機能を実装
白岡の近隣では、すでにT-LOGI久喜が稼働している。久喜市の白岡菖蒲工業団地エリアに立地し、東北自動車道・久喜ICまで2キロ、圏央道と東北道がつながる白岡菖蒲ICまで3.4キロという利便性の高さを誇る。4層スロープ構造のマルチテナント型施設は、物流要衝・久喜を代表するポテンシャルである。

▲「T-LOGI久喜」
「T-LOGI久喜は、T-LOGIブランドの第1号物件として20年6月に竣工後、たちまち満床での稼働」だったとアレン氏はいう。「利便性の高い立地を厳選し、ユーザーのニーズに即した最適な施設開発をすれば、必ず需要を喚起できるというのがT-LOGIブランドの信念。T-LOGI久喜の満床での始動は、まさにこの信念が受け入れられたもの」と振り返る。
たちまちの満床となったT-LOGI久喜に近郊する(仮称)T-LOGI白岡。このエリアからの物流再編を検討していた事業者にとってはまたとないチャンスともいえる。「2026年2月竣工に向けて多数引き合いをいただいている状況であり、立地、機動性、保管力に優れた本物件を新たな物流拠点として選択できるチャンス。白岡だけでなく他のデベロッパーの物件などともしっかりと比較、相談してもらうことで、T-LOGIの対話力や、最適な立地での最適な施設選びというコンセプトにも共感してもらえるのでは」(アレン氏)
急成長にも揺るぎない開発コンセプト、1棟ごとへのこだわり
T-LOGIブランドが掲げる開発コンセプトは、デベロッパーとして基盤となるべきものであり、それらを高い水準と精度で実現させるべく、屋上太陽光パネル発電の自家消費や余剰電力の他物件への送電スキームなどを標準仕様とした環境対策を行っている。T-LOGI久喜では使用電力の4割を太陽光由来で賄っており、発電量の4割を外部融通に回している。このように、各所のデザインや使い勝手の配慮に至るまできめ細やかな1棟ごとのこだわっていることが、これまでの供給物件のほとんどを満床で稼働させる実績につながっている。
20年のT-LOGI久喜竣工から数えるとたった4年間で15棟が竣工、開発中物件と合わせて30件以上のプロジェクトを手がけるという急躍進ぶりだが、「開発のスピードを上げつつも、まだまだ市場の中では後発。その分、一つ一つの物件開発、運用サポートでは丁寧な取り組みができることも、T-LOGIの強み。時代の要請に応じた冷凍冷蔵倉庫や危険物倉庫への対応とともに、一般ドライ倉庫の汎用性や使いやすさでも細部に至る進歩を重ねながら、利用者の物流業務を堅実にサポートしていきたい」(アレン氏)と、その開発理念は今後も揺るぎない。
所在地:埼玉県白岡市下大崎字下端760-1他
延床面積:4万4066平方メートル
アクセス:圏央道・白岡菖蒲ICから3キロ、東北道・久喜ICから5.1キロ
完成:2026年2月(予定)