調査・データ帝国データバンク(TDB)は21日、滋賀大学と共同で行った信用調査データを用いた雇用傾向の分析結果を公表し、運輸業について「以前から続くドライバー不足に2024年問題も相まって、人手不足の更なる深刻化が懸念される」との見方を示した。
同社は、雇用動向を分析するため、運輸業と宿泊飲食サービス業、建設業の3産業を対象に2014年から23年の10年間で毎年1回以上調査が行われた企業の雇用の変動を分析した。対象企業は、運輸業381社、宿泊飲食サービス業467社、建設業901社だった。
この期間中、運輸業界では、国内貨物輸送量が毎年45億トン程度の横ばいで推移していたが、20年度に41億トンにまで減少すると、22年度まで同程度の水準で推移した。一方、「巣ごもり需要」などによるインターネット通信販売の伸びを背景に宅配便の取り扱い個数が32.2億個から50.7億個に増加し、成長も見られた。雇用面では人手不足が続いており、トラック運送業では、11年度以降有効求人倍率が全職業平均を上回り、22年の調査では全職業平均より2倍高い数値となっている。
分析結果によると、運輸業界では一部の企業では雇用を増やしているが、業界全体としては雇用を増やせていない。雇用動向に関する企業の意識調査でも正社員、非正規社員ともに採用予定があると回答した企業の割合が、全産業で最上位となっていることから「24年問題に向けて人手の確保が不十分だったと推測される」とした。
こうしたことから、同社は「以前から続くドライバー不足に加え、2024年から労働時間の規制が実施されるなど労働需要がますます高まっているのに対し、雇用量の大きな変動は見られず、今後も人手不足は強まる」と予想した。
他の2業種については、宿泊飲食サービス業界は「コロナ禍前を上回る水準にまで景気が回復し、今後の進展も見込まれる。雇用に関してコロナ禍からの回復傾向は感じられるものの、人手不足は否めないとしている。
建設業界については、東京オリンピックや大阪万博などの需要増で雇用量も増加し、業界全体で正社員を増やそうとする傾向が見られるとした。しかし、2024年問題や資材価格の高騰、就業者の高齢化が進み、非正規社員はやや減少傾向である。
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