
▲(左から)タイミーの小川嶺社長、AZ-COM丸和ホールディングスの和佐見勝社長
ロジスティクスAZ-COM丸和ホールディングスとスキマバイトサービスのタイミーは5日、「大規模災害時における相互協力協定」を締結した。主力事業としてBCP物流を展開する丸和は全国の自治体と協定を締結し、被災地への物資輸送や支援拠点の運営を行ってきたが、支援業務を担う人材の迅速な確保が課題となっていた。そこで今回、短期間の労働力を確保できるスポットワークのマッチングサービスを展開するタイミーと協定を結ぶことで、即時に働き手を動員できるというタイミーの強みを生かし、災害時の人材不足という課題に対応する体制を強化する。
協定では、災害発生時に必要な物流支援を円滑に行うため、平時と緊急時の両面で取り組みを推進する。
平時には、タイミーのワーカーを対象に大規模災害時の物流に関する研修会を開催し、物流支援業務に必要な知識やスキルを習得する機会を提供する。これにより、災害時に即戦力となる人材を育成することが狙いだ。2024年10月には、さいたま市と連携して第1回の研修会を開催しており、今後もオフライン・オンラインの両方で多様な研修会を用意する予定だ。
一方で、実際の大規模災害発生時には、研修を受講したワーカーを中心に、タイミーのプラットフォームを活用して人材を募集する。タイミーの特長である「1日単位での募集」や「書類選考や面接なしでの採用」といった仕組みを活かし、突発的な雇用ニーズに柔軟に対応する。また、研修を受けていないワーカーについても、可能な業務に積極的に募集をかけることで、必要な人材を迅速に確保する体制を整える。
さらに、研修の実施方法や受講者管理、支援業務のマッチング方法などについて両社で共同研究を進め、全国的な展開を視野に入れた支援体制の整備を行う。
丸和は2019年から「BCP物流事業」を展開。BCP(事業継続計画)の専門家を擁する「BCP諮問委員会」を設置しており、全国的な災害対応ネットワーク「AZ-COM BCPネットワーク」を構築するなど、自治体や企業と協力し、広域的な物流支援と備蓄サービスを提供する体制を整えてきた。これまでもセブン-イレブンやコカ・コーラといった大手企業とBCP協定を締結しているほか、2024年の能登半島地震では発災直後から224台の車両を手配し、飲料水や携帯トイレなどの物資輸送を実施した。現在、全国84の自治体と大規模災害時の支援協定を結んでおり、今後も支援体制のさらなる拡充を進める。
一方のタイミーも、物流業界との関わりが深い。24年10月時点で、同社の求人全体の42%が物流関連(軽作業)を占めており、これまで培ったマッチングのノウハウを生かして、災害時の物流支援の人的リソースの確保に貢献する。
今回の協定にあたり、タイミーの小川嶺社長は「タイミーという気軽に使えるサービスが防災とつながることで、防災に対するハードルを下げ、ワーカーの防災意識を変えるという意味で大きな提携となる。丸和・和佐見社長がBCPに熱い思いを持たれていると感じ、我々も大規模災害への貢献を考えて協定を締結した。災害時に活躍できる人材を生み出すことは国としても重要であり、報酬の面も含めて実際に取り組みたいと思える環境づくりを啓蒙していきたい」とコメントした。
AZ-COM丸和HDの和佐見勝社長は「登録ワーカーが1000を超えるタイミーとの提携は、事業継続という観点でたいへん心強い」と語り、今後の自治体との連携に関しては「自治体側から災害協定締結を求める声が強くなっている。最終的には全国800の自治体と災害協定を結びたいと考えている。協定を結ぶことで責任ある行動につながる」と述べた。
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