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TDB、物流費の価格転嫁率3割程度にとどまる

2025年3月17日 (月)

調査・データ帝国データバンク(TDB)は17日、全国2万6815社を対象に「価格転嫁」に関するアンケート調査を実施した結果を公開した。調査によると、100%の仕入れコスト上昇に対して何%販売価格に上乗せできたかを示す価格転嫁率は40.6%となった。前回調査から4.3ポイント低下し、前年同月と同水準となった。

自社の主な商品・サービスにおいて、代表的なコストとなる原材料費、人件費、物流費、エネルギーコストを項目別にそれぞれどの程度転嫁できているかを尋ねたところ、原材料費に対する価格転嫁率は48%、人件費は31.3%、物流費は34.7%、エネルギーコストは29.5%だった。原材料費に対しては客先の理解がある企業も多く、5割近くまで転嫁が進んでいる。一方で、物価高や人手不足にともない給与などを引き上げざるを得ない状況になっており、ガソリン補助金の縮小などで物流費が増えているが、人件費や物流費に対する転嫁率は3割程度にとどまっている。

サプライチェーン別に価格転嫁の状況をみると「化学品卸売」(62.4%)や「鉄鋼・非鉄・鋼業製品卸売」(61.6%)で6割を超えるなど、卸売業では他の業種より価格転嫁が進んだ。一方、サプライチェーン全体に関わる「運輸・倉庫」(31.3%)では3割台を維持しつつも、前回調査より低下した。車両費(購入および修繕)の高騰やガソリン補助金の縮小、重層的な取引構造から直接的な値上げ交渉が難しいといった背景がある。ただし24年問題を契機に徐々に業界内でも価格転嫁を進める動きはみられる。

同社によると、人件費、物流費、エネルギーコストについては原材料費と違って具体的に数値化することが難しい側面がある。これらの費用は変動しやすく、企業内部の運用などにも依存しているため、販売先に明確に説明するのが難しいことが挙げられ「原材料費ほど販売先の理解が進まない」といった声も多数聞かれたという。さらに人件費やエネルギーコストの上昇に対しては、消費者離れや取引先からの反発を懸念して値上げを躊躇する動きが強まっており、価格転嫁の取り組みを進めるためには消費者の購買力向上、企業間の協力、政府の支援の3要素が求められるとした。

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LOGISTICS TODAY編集部
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