調査・データ昨年9月、貯金に関する顧客情報を不正に流用して保険勧誘に利用していたと発表した日本郵政は18日、保険勧誘以外にも投資信託や国債の販売に情報が流用されていたと発表した。保険勧誘のために情報を流用した顧客の数は155万人と公表していたが、新たに発覚した保険勧誘以外の流用を加えると対象者は、少なくとも延べ998万人となった。日本郵政など4社は経営責任を明確にするため、役員計14人に対し、報酬を減額する処分を行った。
同社によると、郵便局ではゆうちょ銀行で口座を開設している顧客の情報を、本人の同意を得ないまま、かんぽ生命が扱う保険商品を販売するために利用し、加入者を募集していた。この問題は昨年9月に発覚し、同年10月に情報を不正に利用していた顧客の数は約155万人だったと発表した後、さらに社内調査を進めていた。
18日の発表によると、保険に加え、ゆうちょ銀行が扱っている投資信託や国債の販売のためにも、貯金に関する個人情報を流用していた。対象となる顧客の人数は投資信託が775万人、国債が52万人になるとみられる。さらに、かんぽ生命以外の保険の募集のためにも、16万人の情報を不正に利用していた。
これらの人数はデータを確認できる2014年2月以降のもので、それ以前の07年10月の郵政事業の民営・分社化以降、続いていたとみられるという。
原因について、日本郵政は「顧客本位の活動を十分浸透させないまま営業推進を優先した」「数字での競争意識が強い組織風土だった」などとしている。今後、情報の利用について同意を得ていることを確認できるシステムを導入するとともに、個人情報の適切な取扱いを徹底するため、ルールを明確化し、研修を実施するとしている。
処分については、日本郵政の増田寛也社長が25%、日本郵便の千田哲也社長は30%、かんぽ生命の谷垣邦夫社長は25%、ゆうちょ銀行の笠間貴之社長は20%、それぞれ3か月間、月額報酬を減額する。
また同日、昨年1月に販売を始めた一時払い終身保険について、保険業法上の認可を取得する前に顧客への勧誘を行っていたことを確認したと発表した。今月7日、かんぽ生命が不祥事を金融庁に届け出を行い、同日、実態を把握するための調査や原因究明などを行うよう金融庁から命令を受けた。
販売の認可取得前の勧誘は保険業法に違反する行為で、日本郵政と日本郵便、かんぽ生命の3社は、実態把握に向けた調査を早急に実施し、結果を踏まえて再発防止策を策定するとしている。
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