拠点・施設P&Gジャパン(神戸市中央区)は21日、物流効率化の新たな取り組みとして、群馬県藤岡市に新たな物流拠点の設立を発表した。5万2000パレットという大規模な保管能力を誇る日本最大級の自動倉庫で、同社の高崎工場の専用倉庫となる「高崎サプライ倉庫」を建設し、4月1日より本格的な稼働を開始する。

▲高崎サプライ倉庫(出所:P&Gジャパン)
新倉庫では最新鋭の「自動トラック荷役システム」を全面的に導入。商品の入荷から保管、ピッキング、出荷準備に至るまでの全工程を完全自動化する。このシステムにより、従来は人手に頼り30分の時間を要していた入荷作業を、3分まで短縮させることを可能にした。さらに、最新の自動ゲートシステムを実装。配送トラックの入場から退場までの一連の動きをスムーズかつ効率的に制御し、物流現場での人的負担を大幅に軽減する。
▲(左から)自動トラック荷役システム(ATLS)、自動ゲートシステム(出所:P&Gジャパン)
高崎サプライ倉庫の新設は、P&Gの物流戦略で重要な転換点になる。これまで関東圏内に分散していた複数の物流拠点を一か所に効率的に集約することで、在庫管理の合理化と物流ネットワークの最適化を実現する。高崎サプライ倉庫の立地は、関越自動車道や北関東自動車道などの主要高速道路へのアクセスが極めて良好だ。この地理的優位性を最大限に活用することで、配送ルートの効率化が可能となる。具体的には、トラックの年間走行距離を200万キロ削減することができる。これは地球50周分に相当する距離だ。この大幅な走行距離の削減により、環境負荷の低減と同時に、ドライバー不足や長時間労働など、近年深刻化する物流業界の構造的な課題に対して、より効果的な解決策の提供が可能になるだろう。
P&Gの高崎工場は2022年、日本の消費財メーカーとして初めて世界経済フォーラムより「Lighthouse」(ライトハウス)に選出された。この称号は、第4次産業革命の先進的な製造技術とデジタルイノベーションを実践している世界のトップ企業にのみ与えられる栄誉ある認定だ。高崎工場では、デジタルツインによる仮想空間でのシミュレーション、AI技術を活用した需要予測システム、機械学習による品質管理の最適化など、最先端のデジタル技術を積極的に導入している。これらの革新的な取り組みにより、生産性を大幅に向上させるとともに、刻々と変化する市場ニーズに対して迅速かつ柔軟な対応を実現している。この成果は、P&Gのデジタルトランスフォーメーション戦略の成功例として、グローバルで高い評価を受けている。
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