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みつばモビリティの送迎契約解除、構造的課題表面化

2025年3月21日 (金)

国内首都圏を中心に幼稚園や保育園向けの送迎バスの運行管理を請け負う業界大手のみつばモビリティが2025年3月末で、神奈川県の川崎市や横浜市などにある30以上の施設との運転手派遣契約を打ち切る事態となり、波紋を広げている。「20年の取引関係で初めての事態」と戸惑う幼稚園もあり、各園では別の運転手派遣会社の確保に奔走するなど、先行きを不安視する声も少なくない。

人件費の高騰や高齢化や定年に伴う退職、さらには配送業などとの人材の取り合いにより、ドライバーの人材不足となり、2025年度の運行が難しくなったという。運転手の人材確保は一層厳しさを増している。求人を出しても応募は少ない状況が続いており、送迎サービスは園運営と保護者にとって重要なシステムだ。労働人口の減少により、他地域でも同様の問題が発生する懸念が残る。送迎手段の少ない保育分野において、この問題は社会的課題として看過できない。

今回の事態について、みつばモビリティを統括するソシオークグループの担当者は「ニュース報道を見ていると、一方的に契約を打ち切られたという幼稚園側の主張が目立つ。しかし、契約解除を通知するまで、条件や価格の見直し交渉など、園側と折衝を重ねてきたつもりだ」とした上で、こう続ける。

「園の送迎は朝夕のみで、ドライバーさんへの処遇が低めだったのは否めない。もっと現実的な処遇改善策を講じておくべきだった。また、複数の園と連携して、エリアごとの共同運行など合理的な方法もあったはずだ。今思うのは、市などの行政に運転手不足などの窮状をもっと詳細に訴えるべきだった。行政に支援策を検討してもらう必要があったのではないか。園の送迎は単なる朝夕のサービスではなく、少子高齢化社会にとって、とても重要な社会的インフラだということを多くの人に認識してほしいと思う」

今回の契約打ち切りは、運転手の高齢化、採用難、人件費上昇という運輸業界全体の構造的問題を浮き彫りにした。一企業の経営判断を超えて、持続可能な輸送サービスの在り方を問い直す転換点となりそうだ。

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LOGISTICS TODAY編集部
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