ロジスティクス送迎バスの運行管理を請け負う業界大手のみつばモビリティ(東京都港区)が2025年3月末、川崎市や横浜市などにある30以上の施設との運転手派遣契約を打ち切った問題。同業他社は対岸の火事とは考えていない。
「今回の事態はドライバーの採用コスト増と賃金上昇が背景にある。送迎サービスはひっ迫している」と話すのは、送迎サービスに携わる事業所の関係者だ。
「もし、送迎を担う事業所が人手不足で困っているなら、時給を上げるなど方策はあるにはある。時給1500円で集まらないなら、1600円に上げるなどの策を講じるはずだ。しかし、幼稚園は少子化で、園児が少なくなる一方だ。送迎にかかるコストが賄えず、いつかは破たんしてしまう。こんな構図でいいのだろうか。特に幼稚園の送迎は子育ての現場でまず直面する一丁目一番地の問題。国は少子化対策を叫ぶなら、ここに助成金を投入するなど、全面的に支援すべきだと思う。ここでやらなければ、どこでやるのか。私たちの税金を有効に使ってほしいものだ」
さらに、送迎に伴う車両の維持管理コスト、社会保険への加入義務問題など、経営を圧迫する要因が重なっていると指摘する。
「園の送迎サービスは総じて採算が厳しく、企業努力だけでは立ち行かないところにまで来てしまっている。なので、国や行政には園児の送迎サービスは人手不足などでひっ迫していると認識を変えてもらいたい。市などの行政に対し、働きかけることが必要だと、私たちも考えている」
今回の事態から、ドライバーの人材確保の困難さや送迎コストの上昇、園児数の減少による園側の経営状況という潜在的な問題も見えた。行政による助成金の投入や支援体制の早急な構築が、この危機的状況を打開する伴になりそうだ。推移を見守りたい。
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