行政・団体特殊冷凍事業を展開するデイブレイク(東京都品川区)は27日、農林水産省が公募した「令和6年度サプライチェーン連結強化緊急対策」の補助事業者に採択されたと発表した。対象は「冷凍寿司の米国輸出のサプライチェーン構築」に関する取り組みで、国内で製造した大量ロットの冷凍すしを米国市場で効率的に流通させることを目指す。
同社は、食材研究を踏まえ特殊冷凍機「アートロックフリーザー」を独自開発。2021年10月の発売以降、導入先は700社を超えている。一般的な冷凍の場合、細胞内の水分が氷に変わるときに細胞が損傷するが、特殊冷凍では急速、均一に凍結することで氷結晶を小さくし、細胞の損傷を減らして、うまみ成分の流出を防ぐ。さらに、冷風の循環技術によって食品に与えるダメージを低減し、素材本来の風味や食感を保つ。これによって、アートロックフリーザーはこれまで難しいとされていた食品の冷凍を可能にし、高品質な冷凍食品を製造できるようにした。
今回の事業では、冷凍すしの生産者から米国の流通業者までのコールドチェーンを確立し、高品質な冷凍寿司を、品質を落とすことなく米国の消費者に届けるため、各種の実証実験に取り組む。
同社は昨年夏から、冷凍すしの海外輸出に取り組んでおり、11月には米国で開催された日本食の展示会に冷凍すしを出品して高い評価を得た。米国に食品を海上輸送するには1、2か月かかり、途中、荷物の積み替えや陸上輸送などで食品が溶けてしまうリスクがあるが、保冷効果のある段ボールや高性能断熱資材を組み合わせて、長期間の温度維持を実現した。
こうした研究成果やノウハウを踏まえ、同社は輸出専用の包装開発や物流ネットワーク整備を進め、現地企業と連携した販路開拓などを行い、運用方法や効果を検証する。それによって、より強固なサプライチェーンを構築し、日系スーパーだけでなく、日系以外の店舗への販路拡大を目指す。
同社は「冷凍すしの物流から流通、販売までのさまざまな課題を解決して大量ロットの商品を輸出できる事業基盤を整備し、国産食品の輸出促進に貢献する」としている。
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