調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は4日、2024年度の「コンプライアンス違反」倒産についてのレポートを発表した。同調査は法令違反などによる「コンプライアンス違反」で倒産(負債1000万円以上)が判明した企業を集計したもの。
2024年度の「コンプライアンス違反」倒産は317件で、過去最多を更新した。コロナ禍前の2017年度は211件で、コロナ禍は資金繰り支援策が奏功して2020年度93件、2021年度107件、2022年度116件と100件前後の低水準で推移していた。しかし、コロナ禍が落ち着いた2023年度は支援策の終了・縮小に伴い234件と一気に増加。2024年度は公租公課の滞納への徴収が厳格さを増した「税金関連」が1.4倍増の172件など全体で増勢を強めた。
内訳は、最多が税金滞納などの「税金関連」が172件(前年度比38.7%増)。次いで詐欺・横領、偽装などを含む「その他」が73件(同28%増)、「不正受給」が42件(75%増)、「粉飾決算」が21件(10.5%増)、「雇用関連」が9件(10%減)だった。特に大型倒産が相次いだ「粉飾決算」では借入金の返済猶予などの支援要請で粉飾が発覚するケースが目立った。
産業別では10産業のうち5産業で増加した一方、運輸業は26件で前年比10.3%減となった。最多はサービス業他の114件(前年度比60.5%増)。次いで建設業が63件(同96.8%増)、製造業が38件(52%増)、情報通信業が19件(137.5%増)、金融・保険業が4件(100.0%増)だった。
負債額別では、最多は「1億円以上5億円未満」の115件(前年度比41.9%増)。次いで、「5千万円以上1億円未満」が67件(同45.6%増)、「1千万円以上5千万円未満」が66件(同53.4%増)と続き、1億円以上が184件(同26.8%増)と全体の58.0%を占めた。
同社によると、粉飾決算による倒産の増加は金融機関の融資や支援に変化をもたらし、影響は他の企業まで及ぶ可能性もある。粉飾事案は今後、さらに増える可能性も高まっており、しばらく「コンプライアンス違反」倒産は高水準が続きそうだと分析した。
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