環境・CSR消防庁は3月28日、大規模な倉庫での防火対策をガイドラインとして公表するとともに、各都道府県や業界団体に通知し、周知徹底を求めた。
近年、EC(電子商取引)の拡大や人手不足対策で物流拠点が大型化し、商品の検品や梱包など流通加工まで行う物流施設も増えている。これに伴い、倉庫で働く従業員が増え、福利厚生施設を導入する施設も少なくない。また、複数の事業者がテナント利用するマルチテナント型倉庫や、ロボットによる仕分け作業などの自動化を進める倉庫など、形態もさまざまになっている。一方で、大型物流倉庫の火災も発生しており、2017年に埼玉県三芳町で発生したアスクルの倉庫火災では、鎮火まで2週間近くかかった。
こうしたことから、消防庁は昨年、「予防行政のあり方に関する検討会」で大規模倉庫の開催対策や初期対応などについて検討を行い、主に防火管理のソフト面に関する事業者の取り組みについてガイドラインを取りまとめた。対象となるのは倉庫部分が延べ1万平方メートル以上の施設で、倉庫の実態に応じた日頃の出火対策と自衛消防隊による適切な初期対応を求めている。
ガイドラインでは、最近の倉庫の特徴として、建物利用者の増加と多様化や、マルチテナント型倉庫の増加、保管物品の多種多様化、作業の自動化などを挙げ、火災時に避難に手間取ったり、テナントごとに対応が異なったりするリスクがあると指摘。また、保管品の中に危険物などが交じっていた場合、延焼の拡大や消火活動の妨げになる恐れもあるとした。さらに自動機器やロボットも避難動線を複雑にしたり、消火活動を困難にしたりする可能性がある。
このため、倉庫の特徴に合わせた出火対策や避難訓練、初期消火などのポイントを解説。必要な設備や準備などについて詳しく説明している。また、具体的な取り組み事例についても、実際の写真を交えて紹介している。
大規模倉庫では消防法に基づき、火気管理や、消防用設備・避難施設などの維持管理、自衛消防の組織の整備、定期的な訓練を平時に行うとともに、火災発生時には適切な消火活動、通報連絡、避難誘導の実施などが求められる。消防庁は「管理責任者は消防計画の作成や教育・訓練の際にガイドラインを活用し、安全対策に万全を期してほしい」などとしている。
■大規模倉庫における効果的な防火管理に関するガイドライン
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/250328_yobou_134.pdf
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