M&A牧野フライス製作所(東京都目黒区)へのTOB(株式公開買い付け)を進めていたニデックは8日、牧野フライス側が対抗策を打ち出したことを受けて、TOBを9日付けで撤回すると発表した。応募済みの株の返還は9日から開始する。ニデックが事前協議を行わずにTOBの実施を表明したことから、牧野フライスが反発し、対抗措置を講じるなどしてTOBの延期を求めていた。
ニデックは「互いの技術や専門的知識を共有すれば、新製品の開発速度を上げ、事業の幅を広げられる」などとして昨年12月に、TOBで完全子会社化を目指すことを表明。牧野フライスの同意を得ないまま4月4日からTOBを開始した。買い付け価格は1株1万1000円で買い付け期間は21日までだった。
これに対し、牧野フライスは3月、他社の買収提案を検討する期間が必要だとし、TOBの開始を延期するよう求めたが、ニデック側が応じなかったため、対応措置の実施を表明した。
対応措置は、全株主に新株予約権を無償で割り当てるとの内容で、実施されれば、ニデックがTOBで株式を買い付けても持ち株比率が下がる。ニデックは新株予約権発行の差し止めを求めて、東京地裁に仮処分申請したが、今月7日に却下された。
ニデックは撤回の理由について「新株予約権無償割当てが実施された場合、損害が生じるおそれがあり、TOBを続けることは著しく経済合理性を欠く」としている。
一方、牧野フライスは9日、TOBの撤回を受けて、対抗策を中止すると発表した。「対抗策はほかの買収提案を比較検討する時間確保のみが目的だったため、TOB撤回で対抗策を取る必要がなくなった」と理由を説明した。
同社は今後について「他社からの買収提案について協議や検討を進め、企業価値や株主の利益の最大化に向けた取り組みを進めていく」としている。
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