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SGHD、リアルコマース獲得のための取り組みを推進

2025年5月9日 (金)

財務・人事SGホールディングス(HD)は9日、2025年3月期決算と株主還元拡充策を発表した。同社は顧客と社会にとって不可欠なインフラであり続けるという方針を明確にした。宅配便の取扱個数増加と成長領域の拡大に注力し、26年3月期第2四半期から宅配便取扱個数を増加に転じさせる具体策を示した。

グローバル物流分野では、モリソン・エクスプレス(台湾)の買収に伴う協働体制構築を前倒しで進めている。クロージングを当初予定より40日短縮し、5月20日完了を予定している。初年度は、リソース共有によるシナジー効果創出と各拠点の最適化を推進する。アジア発北米向けチャーター機の運用でコスト削減を図り、営業連携および相互送客体制を構築する。また、グローバル人材交流や業績モニタリング体制の整備を進めつつ、内部統制・監査ポリシーの調整やJSOX対応も強化する。

25年3月期の連結業績は、売上高1兆4792億円、営業利益878億円となった。前期比では増収減益となったが、デリバリー事業は予想を上回り、宅配便取扱個数の増加が貢献した。宅配便平均単価は計画通りに推移し、ロジスティクス事業は増収に寄与した一方、デリバリー事業では人件費増により利益が圧迫された。グローバル物流を担うエクスポランカは、運賃上昇と取扱量増により黒字化目標を超過達成した。また、旧C&Fの連結化や保有不動産売却益も利益を下支えした。

(出所:SGホールディングス)

26年3月期の連結業績は、売上高1兆6290億円、営業利益910億円を見込んでいる。デリバリー事業の取扱個数は、営業活動強化により第2四半期以降の増加が期待される。旧C&Fの業績寄与と成長領域の拡大により増収増益を目指し、グローバル物流ではエクスポランカの取扱量増加とモリソンの下期連結によるシナジー効果を見込む。不動産事業では第4四半期に不動産流動化を計画している。

株主還元策として、自己株式取得枠750億円(5500万株)の市場買付を実施し、累計総還元性向を最大60%以上とする。また、SGH防災サポート財団への第三者割当として自己株式2000万株(300億円相当)を割り当て、配当を原資とした継続的な防災支援と株式希薄化の回避を図る。自己株式取得による自己資本圧縮でROE向上を見込むものの、2026年3月期は取得に伴う支払利息増加により純利益は570億円程度となる見通しだ。ただし、ROEは前年同期比0.3ポイント向上の10.3%を予想している。

さらに、新中期経営計画「SGH Story 2027」を発表した。同計画では、トータルロジスティクスの高度化とグローバル物流の基盤拡大を基本方針としている。宅配便事業において、リアルコマース・低温物流・越境ECの3分野で取扱個数の拡大を目指す。宅配便取扱数は26年3月期に13億2000万個を見込み、単価は25年3月期の661円から13円上昇し、26年3月期には674円となる見通しだ。リアルコマース施策として、個人顧客や訪日観光客向けの利便性の高い配送サービスを拡充し、中国大手OTAと連携するJapan DX(東京都港区)と25年4月に資本業務提携を締結。越境EC強化では、関西国際空港に国際貨物専用センターを25年4月に開設し、保税から発送までを自社グループで一貫処理することでリードタイムの短縮を実現する。

ロジスティクス事業は低温物流を重点分野とし、26年3月期には営業収益1850億円、営業利益90億円(前期比それぞれ5%増、15%増)を目標とする。シナジー効果は営業利益ベースで20億円を見込み、うち3億円は新規案件で確保済み。営業力強化のためPJチームを設置し、2温度帯車両への追加投資や経費削減により1億円超のコスト効果を見込む。25年3月期には「飛脚クール便」を活用したtoC市場で成果を上げ、toB市場でも製造拠点間輸送の新規案件により年間5億円の営業利益効果を創出。新規のコールドチェーンを活用した効率的な物流体制を顧客と構築し、全国に仕入先が分散する顧客向けには新物流センター導入支援により、配送効率とリードタイム短縮を通じた競争力向上を図る。

SGホールディングスは経営計画「SGH Story 2027」を通じて、多角的かつ包括的な物流体制の基盤を拡充し、国内外で品質・効率・対応力の向上に注力することで、社会インフラとしての使命を一層強化していく方針だ。

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