調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は9日、全国のスーパーマーケット経営会社725社の2024年の業績は、売上高が計23兆3384億1500万円と前期比6.3%増となり、利益も3741億4600万円の同31.7%増と、3年ぶりに増収増益になったとするレポートを公表した。22年、23年は2期連続で減収減益だったが、物価高による商品価格の上昇が業績の改善に寄与したとしている。
調査は、同社の企業データベースから5期連続で業績が判明したスーパー経営会社725社を抽出、分析した。
同社によると、スーパー全体の収益は改善したが、売上高1000億円超の大手スーパー(49社)と、1000億円未満の地場・中堅スーパー(676社、以下地場・中堅)の業績を比較すると、大手スーパーの増収率が前期比7.5%増だったのに対し、地場・中堅は同3.6%増にとどまった。利益率も大手スーパー1.7%に対し、地場・中堅1.3%だった。
一方、赤字企業の割合は、大手スーパーが8.1%(4社)だったのに対し、地場・中堅が21.1%(143社)で、地場・中堅が13.0ポイント高かった。
売上高の分布を見ると、最多が売上高100億円以上1000億円未満の179社(24.6%)で、次いで1億円未満が132社(18.2%)、10億円以上50億円未満が126社(17.3%)、1億円以上5億円未満が116社(同16.0%)と続いた。
売上高1000億円以上は最も少ない49社(6.7%)だったが、前期(44社)より5社増えた。この49社の合計は16兆2561億9100万円で、スーパー全体の売上高の69.6%を占めた。
売上高が最も大きいのはイオンリテール(千葉市美浜区)の1兆8419億1200万円)で唯一、1兆円を超え2位以下を大きく引き離している。また、「TRIAL」などを運営するトライアルホールディングス(福岡市東区)はことし3月、老舗スーパーの西友(東京都武蔵野市)の完全子会社化を発表した。子会社化以降のグループ売上高合計は1兆2000億円規模で、イオンに続く規模となる。
このほかにも、大手が地場や中堅スーパーを傘下に収めるM&Aが活発化しているが、過当競争に耐えきれず倒産する小規模な地場スーパーも増えている。
同社は「スケールメリットを生かした大手は、仕入れロットの優位性と価格政策、プライベートブランド製品を含む品ぞろえ、ネット販売などで先行。地場・中堅は営業エリアが限定され、商品仕入れや資金面などでも劣勢に立たされ、格差が拡大している」と指摘。今後については「ネットスーパーの浸透など消費行動が様変わりするとともに、スーパー側も人手不足に対応したセルフレジ導入による省人化など変容を迫られている。スケールメリットや効率化を求め、合従連衡や淘汰がさらに進む可能性が高い」としている。
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