ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

カクヤス新中計、物流網強化で飲食向け拡大

2025年5月16日 (金)

調査・データカクヤスグループは15日、「TRANSFORMATION PLAN 2028」の骨子策定を発表した。同社は今後、既存の酒類販売に加え、食材や消耗品など多様な商材の受注・配達・請求決済までの一貫サービスを外部企業にも展開する独自の販売プラットフォーム企業を目指す。コロナ禍を経た消費者意識の変化や業界の事業環境を受け、幅広い顧客ニーズへの対応力を基盤とし、事業領域を拡大する方針だ。

グループは首都圏、関西、九州で250を超える拠点を展開し、飲食店や一般家庭向けの自社配達網を持つ。明和物産(東京都中央区)を通じて飲食店向け食材や消耗品の取り扱い拡大を進め、グループ全体の客単価と配送効率の向上を図る。食事主体の飲食店やカフェを新たな取引先として開拓し、家庭向けにも食品の定期配送体制や商品数拡充に取り組む。明和物産の有機的成長に加え、M&Aやアライアンスでも顧客・商材拡充を進める方針だ。

大和急送(足立区)は他人物配送機能を活用し、提携各社や顧客荷物をカクヤスの各拠点に運搬するだけでなく、顧客宅への直接配送も強化する。物流の2024年問題による納品頻度減少を踏まえ、カクヤスの都内23区ネットワークと大和急送の配送センター連携によって、他社には真似できない多品種・地域特化型物流基盤を構築する。カクヤス軽車両による他人物配送拡大も計画する。

プラットフォーム基盤整備には初年度で17億円、3年間で35億円の投資を見込む。25年3月期の売上高は1345億1400万円で、28年3月期は1700億円を目標とする。営業利益は17億8200万円から40億円への拡大を図る。カクヤスモデルの強化、デジタル技術活用による配達・業務効率化、関西・九州など新エリア進出、既存エリアの深耕、M&Aやアライアンスによる商材拡張、専門性重視型店舗の開発を進める。

サステナビリティ対応として「環境」「酒・飲食文化と社会問題」「コミュニティ」「サプライチェーンマネジメント」「人財」「ガバナンス」の6マテリアリティを推進する。廃油回収など2WAY型サービスの強化にも取り組む。人的資本では多様な働き方推進やウェルビーイング向上、キャリア支援、次世代経営人財計画育成、人財情報の可視化まで一体化して進める。

また、7月1日に社名を「ひとまいる」へ変更する。新理念「地域の人々の暮らしのどんな小さな願いも叶えたい」を掲げ、地域との関係や日常の価値向上を目指す。30年3月期には2300億円の売上を目標とする。

累進配当方針を維持し、3年間で35億円の設備投資を行う。資金調達は金融機関からの借入や増資などを柔軟に組み合わせる。配送拠点では3割の配送余力を保持し、大和急送を通じ個人経営ドライバー確保も強化。配送が平日夕方・週末に集中する独自モデルによって競合と差別化し、配送力増強を進める。28年3月期から適用の新リース会計基準による経営指標見直しや自己資本比率改善にも積極的に取り組む考えだ。

事業環境の変化を受け、カクヤスグループは物流プラットフォーム転換と顧客基盤拡充による次世代型成長を見据えている。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com