財務・人事ニチレイロジグループ本社(東京都中央区)は2025年3月期事業報告会で、25年3月期決算や新中期経営計画の概要などを報告した。同期決算の売上高は2783億円で、前年比8%増となる。営業利益は157億円で、同1%減にとどまった。国内外とも事業拡大を実現したが、CSRD対応などによる一時的なコスト増が利益を圧迫した。

(出所:ニチレイロジグループ)
25年3月期の物流ネットワーク事業は、持続可能な物流基盤強化の観点から、3PLと輸配送領域の両輪を積極的に拡大した。売上高は1236億円で、4%増、営業利益は68億円で5%増となり、いずれも増収増益を達成した。3PLでは、冷食物流プラットフォームを全面的に活用し、冷凍食品メーカーの物流受託拡大、新規顧客の獲得、大都市圏を中心とした集荷強化など、幅広い顧客ニーズへの対応を推進した。外食流通においても顧客の新規出店が伸び、3PLの協業範囲が着実に拡大した。
物流ネットワーク事業全体としては、持続可能な輸配送ソリューションの提供を促進し、「SULS」(サルス)と呼ばれる次世代輸配送システムの活用を通じて効率化を深化させた。自社アセットと他社アセットのハイブリッド運用により、全国幹線網を強固にし、大都市圏への対応力向上も進めた。
輸配送事業では24年問題に対応したソリューション展開が目立つ。全国の輸配送網は、フェリールートや幹線の共同化、トレーラーの追加投資(累計100本へ)による輸送力増強で維持・拡張された。「NL+LiNk」は、小売りベンダー向けの拠点間輸送サービスとして本格展開し、関東・東北・関西・中四国エリアでネットワークを広げている。これにより、取引先小売業者や食品メーカーとの連携が強化され、効率的な配送と物流効率向上に寄与している。
前中期経営計画(22-24)および新中期経営計画(25-27)の双方で成長施策を展開。前中期経営計画では、社会・業界環境の変化を踏まえた持続可能な輸配送基盤構築と、事業基盤の強化を柱としていた。SULSの本格稼働や、東北エリアでの小売りベンダー向け輸送サービス「NL+LiNk」の展開、関東におけるネットワーク化と拠点整備、神戸六甲DCの新設と庫腹増強など、戦略的な投資とデジタル化推進を進めた。また、トラックバース予約システム導入拠点の拡大やTC設置により、効率化・生産性の向上も図った。
新中期経営計画「Compass × Growth 2027」では、より踏み込んだ物流ネットワーク基盤の拡充とデジタル化加速を掲げている。具体的には、冷凍食品物流における保管・輸配送能力を関東・関西・九州の拠点でさらに増強。自社トレーラー投資の拡大による全国幹線網の強化と、NL+LiNkによる小売ベンダー向けリテール物流ネットワーク構築のエリア拡大を並行して進めている。さらに、最先端自動化機器の検証や省力化モデル整備、主要拠点でのデジタル化率100%の達成を目標とし、業務の可視化と標準化を強力に推進する。
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