話題「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法案」と、同法案の規定を担保する「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法案」で構成する「トラック新法」案が4日、参議院本会議で審議され、賛成多数で可決・成立した。両法案は5月23日の衆議院国土交通委員会(井上貴博委員長)で委員長提案として提出。全会一致で了承され、同月27日に衆議院本会議で審議・可決した後、参議院に送られていた。
改正貨物自動車運送事業法では、トラック運送事業の許可更新制の導入、運送委託次数の制限、適正原価を下回る運賃・料金の制限、「白トラ」など無許可事業者への運送委託禁止の強化、労働者の適切な処遇の確保といった新たなルールが追加される。1990年の規制緩和以降、参入規制の事実上の撤廃などで自由競争下にあった日本のトラック運送市場は、今回の法改正で大転換期を迎えることになりそうだ。
トラック新法の要点
(1)トラック運送事業の許可更新制の導入(5年ごと)(2)運送委託次数の制限(2次請けまで)
(3)適性原価を下回る運賃・料金の制限
(4)無許可事業者(白トラなど)への運送委託の禁止強化
(5)労働者の適切な処遇の確保
改正法では、トラック運送事業の許可が5年ごとの更新制となるほか、真荷主(貨物自動車運送事業者または貨物利用運送事業者以外の者で、貨物自動車運送事業者または貨物利用運送事業者との間で運送契約を締結して貨物の運送を委託する者)から元請けとして運送を引き受ける場合、再委託の回数は2回以内に制限することが努力義務となる。
トラック運送事業者が自ら貨物を運んだり、ほかの事業者に運送を委託したりする場合には、国土交通大臣が告示する「適正原価」を継続して下回ってはならないことを明記し、労働者(ドライバーなど)の適切な処遇の確保につなげる。違法行為である白トラ(無許可営業)の取り締まりを強化する目的で、白トラを利用する荷主に対する関係機関への通報(情報提供)、是正指導、勧告・公表などを可能にする。
貨物自動車運送事業法の一部改正案の規定を担保するための貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律では、改正貨物自動車運送事業法の施行後3年以内をめどに必要な法制上の措置を講じることや、独立行政法人による許可更新の事務や事業適正化支援を適切かつ効率的に実施できる体制の整備、新ルールへの移行に必要となる財源の確保、政府による「物流政策推進会議」の設置などが明記されている。
改正貨物自動車運送事業法のうち、詳細な制度設計や体制づくりに時間を要することが想定される許可更新制度、適正原価の告示、労働者処遇の確保などは公布日から起算して3年以内で政令で定める日に、一方、運送委託次数の制限や白トラ対策などは公布日から1年以内に施行する見通しだ。また、貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律は公布日に即日施行する。
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