行政・団体国土交通省関東運輸局は5日、日本郵便に対する自動車貨物運送事業の許可取消処分について、6月18日に行政手続法に基づく聴聞を実施すると通知した。しかし処分内容は既に「事業許可取消」で決定済みとされ、聴聞は形式的手続きにとどまる見通しだ。通常の行政手続きにおいて事前に処分方針を公表するのは異例で、組織的不正に対する国交省の厳正な姿勢を示している。
処分の背景には、日本郵便の全国集配郵便局で長年にわたって続いた重大な法令違反がある。貨物自動車運送事業法で義務付けられている乗務員の健康確認や酒気帯び検査を行う「点呼」が実施されず、さらに点呼記録の偽装も常態化していた。4月に実施された特別監査では、同社の内部調査結果を上回る違反が確認され、関東運輸局の行政処分基準点数を大幅に超過した。
事業許可取消の対象となる2500台のトラックは、全国の郵便物・ゆうパック輸送の中核を担っている。許可取消が確定すれば、日本郵便は子会社の日本郵便輸送や民間委託業者への代替手段確保を急ぐ必要がある。全国規模での物流網再構築は短期間での実現が困難とみられ、郵便・宅配サービスへの影響が懸念される。
行政手続きでは通常、聴聞を経た後に処分内容が決定される。事前に処分方針を公表する今回の対応は極めて異例で、安全軽視の組織的不正に対する国交省の強い危機感と、厳正な処分方針を示すものといえる。日本郵便側は聴聞で改善策などを訴える方針だが、処分回避は困難な情勢だ。
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