ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

REXEV、EV活用による電力資源の最適化実証

2025年6月11日 (水)

調査・データREXEV(東京都千代田区)は11日、東京都とEV(電気自動車)を使った大規模なVPP(バーチャルパワープラント)の実証実験を行い、実用化レベルの成果を達成したと発表した。都の「ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発支援事業」 に採択された事業で、EVを通常利用しながら、容量市場や需給調整市場、小売支援など、複数の電力市場に同時対応可能なマルチユース型エネルギーマネジメントの技術を確立した。また、5000台規模の車両制御への対応や、運用コストの大幅削減も実現した。

VPPは、点在する太陽光や蓄電池、EVなどのエネルギーリソースをIoT技術で管理・制御して1つの発電所のように機能させる技術で、EVの普及が進む中、EVは分散型電源として重要性が高まっている。

同社は、EVをVPPとして活用するための技術開発に取り組んできたが、EVの車両利用と高精度なエネルギー制御の両立には技術的な困難がともない、VPPへのスムーズな参加には技術的・運用的な調整が必要なほか、導入費用やランニングコストが高いなどの課題があった。

今回の実証実験はこれら3つの課題の解決を目指すもので、2022年から都の支援を受けている。

EVを車両として利用しつつ、多様なマーケットへの参加を可能にする高精度なエネルギー制御については、同社が開発したEV制御プラットフォーム(eMMP)を使い、EV47台を対象にしたVPP総合試験を実施。需給調整市場や容量市場、小売事業者向けサービス、需要家向けエネマネなど複数の電力市場やサービスでの同時制御を想定し、EVの車両利用を考慮しながらも高精度なエネルギーマネジメントが可能かを検証した。

その結果、EVを活用した系統安定化や小売の電力調達コスト削減に寄与できる可能性を確認した。

(クリックで拡大、出所:REXEV)

また、大規模なVPP運用に向けた検証では、5000台が稼働すると想定した環境下で動作試験を実施した。試験では5000台規模のEVを同時に登録・制御するシナリオで、eMMPが問題なく動作することを確認。今後は試験結果をもとに、数万台規模での商用VPP展開を視野に入れたシステム開発を進める。

さらにコスト削減のためデバイスの内製化やIoT最適化を図り、当初、1台あたり月額2万5000円と想定されていたVPP参加のランニングコストを、月額500円まで削減することにも成功した。さらに、初期導入費用も、当初は40万円と試算されていたが、システムの内製化とデバイスレス化で初期費用を不要にすることができた。

同社は今後、物流会社やバス運営会社など、大型EVの多数導入を検討している企業を対象にEVの導入や運営を支援するサービスを展開し、VPPのさらなる拡大を図るとしている。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com