ロジスティクスアサヒ飲料、伊藤園、キリンビバレッジ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナルの清涼飲料大手5社は27日、共同で設立した「社会課題対応研究会」で、物流負荷の軽減や温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた新たな協働施策の検討を開始したと発表した。物流2024年問題や食品ロス、プラスチック削減など複数の課題が同時進行するなか、業界横断での解決策を模索する。
研究会がまず取り組むのは、賞味期限の「製造ロット逆転」に関する納品ルールの緩和である。飲料のように賞味期間が長い商品でも、現行の取引慣行では日付逆転を避けるために追加輸送が発生し、配送遅延時には店頭に並ぶ前の段階で食品ロスが生じる。5社の調査では、日配品に比べ飲料は賞味期限を気にする割合が低く、ペットボトル飲料では1か月の逆転があっても9割近い消費者が購入すると回答している。今後は農林水産省や流通企業と連携し、店頭での検証や運用テストを経て、実際のルール緩和につなげる。
物流面では、共同配送や往復輸送など既存の取り組みをさらに拡大し、輸送・倉庫作業の効率化を継続的に検討する方針だ。来年以降深刻化すると見られるドライバー不足を見据え、物流全体の負荷低減を最優先テーマとして位置付ける。
環境分野では、ペットボトルとキャップの軽量化を共同で進める。飲み口を短くした欧州型の規格を日本向けに改良し、1本あたり2グラムの樹脂削減を目指す。これが国内すべてのペットボトルに適用されれば、樹脂5万トン、GHG10万トンの削減につながると試算する。ラベルやカートンなど包装資材の効率化、再生材利用の拡大も検討対象とする。
さらに、サプライヤー工場に設置された太陽光発電の余剰電力に対し、メーカー側が非化石証書を購入できるスキームづくりにも着手する。このテーマにはサッポロビールも参加し、バリューチェーン全体での再エネ比率向上を狙う。
研究会は今後、関係省庁や他業種の物流研究会とも連携し、個社では対応しきれない課題の改善を進める。5社は「業界の枠を超え、持続可能な供給体制をつくる」としており、物流標準化・商慣行見直しが進むなか、飲料業界の共同アクションが注目される。
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