調査・データインドの市場調査会社、IMARCグループは22日、日本の医療用低温物流市場は2024年に10億6790万ドル規模となり、33年までに14億9190万ドルにまで拡大するとの予測を公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は3.40%を見込んでいる。
レポートによると、日本の医療用低温物流市場はバイオ医薬品や個別化医療の需要増加に牽引され、堅調な成長を遂げている。特に、高齢化で65歳以上の人口が増加する中、先進医療への需要はさらに高まっており、政府も国内のバイオ医薬品製造と個別化医療の育成に取り組んでいる。
モノクローナル抗体やmRNAワクチンなどの生物学的製剤は、厳格な温度管理が必要で、日本通運や近鉄エクスプレスなどの大手物流会社は、バイオ医薬品向けのコールドチェーン機能を拡充し、輸送能力を向上させている
技術の進歩も市場の拡大を後押ししており、IoTセンサーとRFID技術によって、輸送中や保管中の温度と湿度をリアルタイムで監視できるようになり、運用効率が向上した。また、温度逸脱を即座に警告することで、製品の完全性や規制順守を確保するとともに、廃棄物の削減や患者の安全性の向上に貢献している。日本の病院では、バイオ医薬品のリアルタイム温度追跡を義務付けるケースが増えており、かなりの数の病院で監視機能が必須となっている。
ブロックチェーン技術は、透明性が高く、改ざん防止機能を備えた記録を可能にすることから、導入する企業も増えている。人工知能(AI)などによる予測分析も、サプライチェーンの混乱を予測し、リスク軽減を図るために活用されている。
最近は、再生医療・細胞治療向けの物流が大きく拡大しており、これらの専門サービス市場は急成長を遂げている。細胞・遺伝子治療薬の輸送には、極低温での保管が不可欠で、高度な監視システムのほか、極低温輸送機や極低温冷凍機の開発が、こうした繊細な治療薬の取り扱いを容易にしている。
同社では「日本の同市場は、継続的な技術進歩と温度に敏感な医薬品の需要増加に牽引され、今後も有望視される。人口高齢化やバイオ医薬品の導入拡大、再生医療研究への継続的な投資でさらなる成長が期待できる」とし、「アジア太平洋地域でのリーダーであり続けるための好位置に立っている」としている。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。