ロジスティクス宇宙スタートアップのispace(アイスペース)は6日、欧州法人のispace EUROPEが、米国の月面資源開発企業マグナ・ペトラと総額2200万ドル(32億円)のペイロードサービス契約を締結したと発表した。この契約により、NASAが開発した月面用質量分析計「MSOLO」を、同社が27年に予定するミッション3にて月面へ輸送する計画だ。
MSOLOは、月面レゴリス中に含まれるヘリウム3などの揮発性物質の計測を目的とした小型の質量分析装置。マグナ・ペトラは、NASAケネディ宇宙センターとの共同研究契約のもと、月面の同位体分布をAI(人工知能)で再現した「デジタルツイン」モデルの検証も進めており、今後のヘリウム3のサンプルリターンや商用利用に向けた基盤整備に取り組む。
輸送を担当するispace EUROPEは、ルクセンブルクに本拠を構え、小型月面探査車(マイクロローバー)の開発に注力。今回の任務では、NASAの分析装置を搭載できるようローバーを最適化し、27年に予定される米法人ispace-U.S.の着陸船「APEX 1.0」に積載される。
本ミッションは、NASAの技術と民間企業の資源探査、そして国際スタートアップの探査技術が融合した、国境を超えた新たな月面開発モデルとして注目される。ヘリウム3は、将来的な核融合発電や量子コンピューター冷却などの分野で期待される重要資源であり、今回の探査はその実用化への一歩となる可能性がある。
ispaceはこれまでにも月面輸送の実績を重ねており、今後もミッション4(28年予定)などを通じて、国際的な月面経済圏の構築に向けた取り組みを加速させる。
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