ロジスティクス包装機器メーカーのニッサンキコー(京都市伏見区)は、東京ビッグサイト(東京都江東区)で7日から10日まで開催される「JAPAN PACK2025日本包装産業展」で、圧縮空気を使わず電気だけで動作する小規模事業者向け包装機を披露した。
エアシリンダーを用いず、モーターとギア、バネ構造によって動作する仕組みで、コンプレッサーを不要としたことにより、静音化と省エネ化を同時に実現している。
担当者によると、従来の包装ラインではコンプレッサー設備が必須で、電力とメンテナンス費がかさむ点が中小事業者の導入ハードルになっていたという。「この機械は電気のみで稼働するため、エア供給設備を設ける必要がない。結果として設備コストを削減でき、騒音も大幅に低減した」と説明する。

▲ニッサンキコーの電動包装機
この静音性は、店舗併設型の出荷スペースや、EC(電子商取引)倉庫の夜間稼働といった小規模・近隣環境型物流拠点にも好適といえる。
同社では、大手製造業向けの高速包装機とは別に、地域の小規模物流・EC事業者向け包装機としてこのモデルを位置づけている。「例えば地方の食品メーカーやECショップなど、出荷量は多くないが品質を一定に保ちたいという現場を想定している」と担当者。
1台あたりの導入価格は800万円前後で、ライン構成を簡略化することで初期投資を抑えた。また、設備一式をコンパクトにまとめており、倉庫や店舗の一角にも設置可能な省スペース設計となっている。
本機は、宅急便などで最も出荷件数の多い「60サイズ」「80サイズ」に特化した設計。「このサイズ帯が国内出荷量の中心であり、そこに焦点を絞ることで機構を簡素化し、価格を抑えた」と担当者は説明する。
出荷物のサイズを限定することで、包装ライン全体の標準化が進み、宅配・EC向け出荷の効率化にも寄与する構成となっている。多品種・小ロットの出荷にも柔軟に対応でき、中小物流拠点の自動化導入を現実的コストで実現する機器といえる。
一方で、印字・ラベリングの領域でも小規模EC向けの新機器が登場。京セラは、産業用インクジェットプリントエンジンの国内提供を開始した。同システムは、従来の大量印刷前提のラベル印字とは異なり、「小ロット多品種」への柔軟な対応を特徴としている。

▲京セラの産業用インクジェットシステム
担当者によると、食品分野では「ラベルの基本デザインは共通だが、品種名だけが変わる」といったケース、また雑貨や日用品では「同じショップの送り状やロゴは固定だが、商品名・品番だけを差し替えたい」といったニーズがある。同システムでは、こうした可変情報部分のみを即時に高画質で印字できるため、商品ごとに異なるラベルを短時間で発行可能だ。
また、印字の設定変更がデータベース連携で行えるため、ラベルの差し替え作業が大幅に簡略化される。これにより、小規模ECや地域物流拠点でも在庫を抱えずに製品ラベルを管理できる仕組みが整う。
こうした動きは、包装・印字といった“出荷直前工程”の自動化が小規模物流の現場にも波及し始めたことを示している。これまで自動包装やプリント設備は大規模工場の専用機という印象が強かったが、近年は中小の倉庫やEC店舗でも導入可能なサイズ・価格帯の機器が増えている。
省力化や標準化の流れが中小事業者の現場にも浸透することで、地域物流の効率化や持続性の向上にもつながる。「人手に頼らず、正確に、静かに動く機械」が、小さな倉庫の景色を少しずつ変え始めている。
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