調査・データ米市場調査会社のパノラマデータインサイトは16日、世界のフォワーディング市場は2023年から31年まで年平均4.1%成長し、22年の2000億ドル規模から2870億ドルまで拡大するとのレポートを公表した。同社は、かつては単なる「輸送業者の仲介役」として認識されていたフォワーダーが、いまや世界経済の円滑な流動性を担保する「ロジスティクスの頭脳」となっているとした。
レポートによると、地政学的リスクや自然災害、原材料コストの変動、需要の不確実性といった多層的な課題に直面している世界のフォワーディング市場で、フォワーダーは単なる輸送計画者ではなく、リスクマネジメントとオペレーション最適化の両方を担う存在となった。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用したトラッキング技術で、出荷の可視化と予測分析が可能となり、企業は輸送ルートやコストをリアルタイムで最適化できる。また、持続可能な物流へのニーズが高まるなか、環境配慮型輸送を取り入れる企業も増えている。こうした状況を背景に、フォワーディング業界は「価値を創出する産業」へと進化している。
特にEC(電子商取引)の普及が貨物輸送の需要を大きく変え、アジア太平洋地域や北米市場では越境ECの拡大にともない、迅速で柔軟な輸送ネットワークの整備が急務となっている。航空貨物はスピードを重視するB2C物流の主役として再評価され、海上貨物はコスト効率と大量輸送の両立を目指して、ブロックチェーン技術を用いた海上輸送の書類電子化や、スマートコンテナによる温度・位置のリアルタイム監視などデジタル技術の導入が進んでいる。フォワーダーは、こうした技術を活用することで顧客満足度や国際市場での競争力を高めている。
地域別では、アジア太平洋地域が世界のフォワーディング市場をけん引している。中国やインド、日本、韓国などの国々では製造業と輸出産業が強く、港湾・空港インフラの整備も急速に進んでいる。特に中国の「一帯一路」構想は、陸上・海上輸送ルートの拡充を後押しし、地域間の連携を高めている。
欧州や北米ではAIやクラウド、ブロックチェーンといった先進技術を物流に統合し、効率性とサステナビリティの両立を目指している。EUは炭素排出削減目標を掲げてグリーン物流の法整備を進め、環境に配慮した貨物輸送モデルの導入を促している。
今後の市場の成長に重要なのはDXで、すでにAIを活用した需要予測や自動倉庫システム、クラウドの物流プラットフォームの普及が進み、運送業者と顧客の間の情報の非対称性が解消されつつある。さらに、サプライチェーンの複雑化に対応するため、マルチモーダル輸送を統合するシステムの需要も高まっている。さらに、グローバルな貿易の不確実性が高まるなか、各企業はフレキシブルな輸送経路とサプライチェーンの再構築に取り組んでおり、こうした流れに対応できるフォワーダーが今後、市場の主導権を握っていくと指摘している。
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