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倉庫事業者の多くが価格転嫁に苦慮、日倉協調査

2025年11月7日 (金)

調査・データ日本倉庫協会は7日、協会員の倉庫事業者を対象に実施した価格転嫁に関する実態調査の結果を公表した。価格転嫁を求めた荷主企業すべてと交渉ができたと回答した企業は41%にとどまり、0%と回答した企業は5%だった。交渉を求めていないとする企業も8%を占めた。

協会では、コスト上昇が続くなか、価格転嫁の状況を把握するため、9月8日から26日かけて、会員事業者を対象にインターネットを通じてアンケートを実施。487件の回答があった。

調査結果によると、コストの増加を感じているかとの問いに対し、「感じている」が50%、「強く感じている」が41%で、合わせて91%がコスト増を実感していた。

コスト増を感じている項目については、電気代を含む燃料費が88%で最も多く、次いで人件費の87%、資材費の83%などが続いた。

価格展開を求めた荷主の割合については回答が分かれ、「100%」が13%だった一方、「0%」も12%だった。最も多かったのは「1‐20%」の21%で、「21-40%」と「61-80%」が15%で続いた。

価格転嫁を求めることができなかった理由(複数回答)については、「競合他社が価格転嫁をしないため、価格競争力を維持する必要がある」が132社で最も多く、「荷主が価格転嫁に応じられる状況にない」が128社で続いた。「自社努力で対応が可能だった」も98社あった。

荷主が交渉に応じた割合については、「100%」が最も多かったものの、割合は41%にとどまった。「0%」や「交渉を求めていない」と回答した企業も一定数あり、一部で交渉に応じてもらえない状況が続いていることがうかがわれる。

保管料と荷役料、運送料それぞれの値上げ率は、「6‐10%」が最も多く、保管料で38%、荷役料と運送料で33%だった。次いで保管料と荷役料では「1-5%」が多く、2割強だった。運送料は「11-20%」が21%を占めた。目標額に対する達成率では「1-20%」との回答が最も多く、保管料、荷役料ともに3割弱、運送料は2割強を占めた。交渉しても値上げに応じてもらえなかったとの回答も1割弱あった。

目標額を下回った理由(複数回答)を尋ねたところ「顧客離れのリスクや同業者間の競争への警戒」が145社で最も多く、「荷主の理解不足」の94社が続いた。

今後も価格転嫁を求めるかどうか尋ねたところ、84%の企業が求めると回答した。

協会では「コスト上昇を感じる企業が多く、価格転嫁を進める動きが拡大しているが、『競合他社が価格転嫁をしないため価格を維持する必要がある』との回答も多く、業界全体で価格転嫁を進めやすい環境整備が必要だ」としている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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