調査・データPanorama Data Insights(パノラマデータインサイト、東京都中央区)は17日、アジア太平洋地域の航空燃料市場に関する調査レポートを公表した。報告によると、同市場は2023年の1174億5000万ドルから2032年には2686億ドルに達し、2024年からの年平均成長率(CAGR)は9.63%と見込まれている。
市場拡大の主因は、航空旅客数の急増と航空機保有数の増加にある。特に中国、インド、東南アジア諸国では新型機材の導入が活発で、中国国際航空やエアインディアなど各国の主要航空会社が大量発注を進めている。また、中間層の拡大と国際・長距離路線の増便も、燃料需要を押し上げている。
燃料タイプでは、商業航空において主力とされるジェットAのシェアが高く、現在も同地域で広く使用されている。中国、シンガポール、日本、オーストラリアなどでは、今後も同燃料の需要が高水準で推移する見通しだ。これに伴い、空港インフラ、燃料貯蔵施設、給油設備などの整備も急務とされる。
一方で、パリ協定に基づく各国の温室効果ガス排出削減政策により、航空燃料業界は環境規制強化という課題にも直面している。炭素税の導入、排出権取引制度(ETS)の適用、CO2排出削減目標の数値化などが進むなか、石油系燃料依存のリスクが指摘されている。
こうした制約の中で注目されているのが、持続可能な航空燃料(SAF)だ。SAFは従来の化石燃料に比べてCO2排出量を大幅に削減できるとされ、脱炭素化の鍵を握る。日本やシンガポールでは、SAF生産拠点への投資や利用義務化の検討も進んでおり、今後の物流・燃料供給インフラにおいても重要な転換点となる。
アジア太平洋地域の航空燃料市場の成長は、航空会社や燃料サプライヤーだけでなく、給油・輸送を担う物流企業にとっても事業機会と課題の両面をもたらす。特にSAF対応施設や空港物流網の整備は、持続可能な航空輸送の確立に向けた次なる投資対象といえるだろう。
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