フードニチレイロジグループ本社(東京都千代田区)は27日、東京港区の品川物流センター内に開設した「ニチレイロジグループR&Dセンター」の報道陣向け見学会を開催した。

▲ニチレイロジグループR&Dセンター(出所:ニチレイロジグループ本社)
R&Dセンターは低温環境下での庫内作業を対象に、省人化・自動化技術を実装レベルで検証する目的で開設されており、中期計画の重点施策「持続可能な物流基盤のさらなる強化」を象徴するプロジェクト。昨年12月25日のテスト稼働発表後各種検証が進められ、この度報道陣に公開された。
同社常務執行役員の北川倫太郎氏は、近年の労働力不足や低温物流における庫内作業の負荷を踏まえ、「冷凍・冷蔵倉庫における作業品質と安定供給を持続可能に維持するためには、現場のオペレーション自体を再構築する必要がある」と指摘。その実現に向けて、ニチレイロジグループが推進する業務革新を3つの軸に整理した。
1つ目は、検品タブレット運用とそのデータ分析による「データドリブン運営」。2つ目は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や請求書電子化などバックオフィスの効率化であり、すでに具体的な業務削減効果が現れている。3つ目が、今回公開したR&Dセンターが担うハード、マテハン領域での技術開発だ。北川氏は業界をけん引する立場として、技術実装を伴うオペレーション革新に率先して取り組む責任があると述べ、低温物流の未来づくりに向けた意欲を示した。
続いて業務統括部長の勝亦充氏が、同センターの位置づけを説明した。同社は16年度から業務革新に着手し、17年度以降は庫内作業のデジタル化を推進してきたが、これまでの個別最適の取り組みから全体最適へ、さらに「人と機械のベストミックス」を目標に、取り組みをより深化させる必要があると語る。自動化によって余裕のできたリソースを顧客とのコミュニケーションや付加価値創造などに注力し、「業務の誰でもできる化」を目指すなど、多様な人材活用や過酷な労働環境からの解放に向けた実践拠点としてR&Dセンターを位置付ける。
同センターは品川物流センターの1階スペースに設置され、実際の物流フロー(荷さばき、冷蔵エリア、冷凍エリア、出荷バースなど)に沿ってパートナー企業の機器を配置。荷捌き上では、パレット搬送用AGV(無人搬送車)やかご車けん引AGVによる自動搬送など、すでにセンターでの稼働実績があるマテハンのほか、冷蔵エリアではパレタイズアームロボットによるAGVからAGVへの自動積み替え連携も実証される。
冷凍エリアには平行水平シャトルと3Dパレットシャトルが稼働。特に3Dパレットシャトルは同施設に導入されたばかりのソリューションであり、既存冷凍倉庫への後付け設置が可能な柔軟性と、保管効率向上における実用性が期待される自動化システムであることが解説された。

▲冷蔵エリアで検証されるアームロボットとAGVの連携

▲冷凍エリアでは(左)平行水平シャトル(右)3Dパレットシャトルが並んで検証される。
さらに、現在開発中の「冷凍AMR(自律走行搬送ロボット)」稼働の様子も公開。冷凍エリアから荷さばきエリアまで、温度帯をまたぎ、日々のレイアウト変更も伴う現場運用を担うため、結露などの影響も検証され、実運用に向けた開発を続けているという。

▲開発中の冷凍AMR(出所:ニチレイロジグループ本社)
同センターは社内の自動化取り組みにおける情報共有の場としても活用される。また、都内アクセス利便性性も高いため、国内外の取引先やメーカーなどの協力パートナー企業が訪れやすく、実運用の環境下での自動化機器の性能検証、システム連携テスト、複数機器を組み合わせたオペレーション設計など、社内外の知見を集め、共に考え、検証する開かれた場として活用していく考えだ。
今回の見学会では、報道陣に冷凍倉庫内の過酷な環境を体感してもらうことも1つの目的としており、特に人材確保が困難とされる領域で、冷凍食品の国内最大手グループとして、低温物流の安定供給を支える基盤づくりをけん引する意義や重要性についても語られた。(大津鉄也)
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