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JR東日本、「荷物専用新幹線」で物流事業拡大

2025年12月9日 (火)

▲荷物専用新幹線の走行イメージ (出所:JR東日本)

ロジスティクスは9日、列車荷物輸送サービス「はこビュン」を中核とした物流事業拡大策を公表した。目玉は新幹線車両を全面改造した日本初の「荷物専用新幹線」で、2026年3月23日から盛岡-東京間で運行を開始する。深刻化するトラックドライバー不足を背景に、鉄道による高速・大量輸送を産業物流の選択肢として定着させる狙いだ。

同社が掲げる経営ビジョン「勇翔2034」では、鉄道ネットワークを地域活性化に生かす「ライフスタイル・トランスフォーメーション」(LX)を柱に据える。はこビュンはその象徴的な取り組みで、鮮魚・農産品から医療品、精密機器、試作品、政府備蓄米まで多様な商材を輸送してきた。25年4月には、東北新幹線「はやぶさ50号」の1・2号車を荷物専用とする大口輸送も導入し、週1回ながら最大200箱を東京へ運ぶ体制を築いていた。

今回新たに導入される荷物専用新幹線は、E3系7両を丸ごと荷物車に改造。座席を撤去し、床をフラット化して鉄板と滑り止め加工を施すことで、カゴ台車のまま積載できる。搭載量は最大17.4トン(1000箱)。盛岡新幹線車両センターを正午前に出発し、16時ごろ東京の車両センターへ到着するダイヤを想定する。

▲輸送イメージ(クリックで拡大、出所:JR東日本)

車両センター内ではAGV(無人搬送車)を導入し、トラック1台分の荷物を3-4往復で搬送可能とする。人手不足対策と荷役効率化を同時に進める構えだ。車内電源を利用した冷温機器の搭載も想定し、鮮魚・精密品など温度管理が必要な商材の輸送幅も広げる。

ネットワーク拡大に向け、外部連携も強化する。日本航空(JAL)との協業による「JAL de はこビュン」は、新幹線輸送と航空貨物、通関を一体運用し、シンガポールや台北など海外市場への輸出物流を支援する。また日本郵政グループとは、在来線・新幹線を活用した郵便物輸送を26年度に開始する方針だ。

鉄道へのシフトは環境負荷の低減にも直結する。同社の試算では、盛岡-東京間540キロで4トントラック4台分の輸送を新幹線に切り替えると、ドライバー拘束時間を年間3万時間超削減し、CO2排出量を600トン減らせるという。

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LOGISTICS TODAY編集部
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