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全ト協調べ、トラック運送業、大型と普通で賃金格差拡大

2011年1月24日 (月)

話題全日本トラック協会は24日、トラック運送事業に携わる従業員を対象に、2010年度の賃金、労働条件などの調査結果をまとめ、公表した。

 

調査は今回で44回目で、2010年5、6、7月に支給された給与の1カ月平均額などについて、2010年8月から9月にかけて調査したもの。調査対象は、特別積合せ貨物運送事業者193社、一般貨物自動車運送事業者2368社の合わせて2561社で、回答事業者数は特別積合せ貨物運送事業者99社(有効回答99社)、一般貨物自動車運送事業者1281社(同1263社)の1380社(1362社)。

 

調査結果によると、特別積合せ事業と一般事業を合わせたトラック運送事業全体の賞与を除く1人1か月平均賃金が、対前年比2.3%増の31万4300円と4年ぶりに前年を上回った。このうち、事業の中心となる男性運転者の1人1か月平均賃金は、全職種平均の増加幅を0.5ポイント上回り、対前年比2.8%増の32万4100円となった。

 

職種別平均賃金
2010年5、6、7月に支給された全職種1人1か月平均賃金は、特積が31万9900円(4.1%増)、一般が31万300円(1.0%増)、これに年間支給賞与の1か月平均額を加えた月額は、特積が36万6000円(9.9%増)、一般が34万7500円(0.7%増)となった。

 

特積、一般が1人1か月平均賃金で前年を上回ったのは4年ぶりで、平均賃金と賞与を加えた月額でともに前年を上回ることは、1997年度実績以来、13年ぶりになる。

 

運転者から事務員、荷扱手、整備・技能員までの職種を含めたトラック運送事業全体では、全職種平均で1人1か月平均賃金が31万4300円(2.3%増)、年間賞与の1か月平均額を加えた月額が35万5200円(4.0%増)となり、06年度実績以来4年ぶりに前年を上回った。

 

トラック運送事業従業員の7割近くを占める男性運転者(けん引、大型、普通)の賃金をみると、特積では1人1か月平均賃金が33万1200円(3.7%増)、年間賞与の1か月平均額を加えた月額が37万3900円(9.1%増)となった。一方、一般では1人1か月平均賃金が31万8800円(1.6%増)、年間賞与の1か月平均額を加えた月額が34万8500円(1.5%増)となり、1人1か月平均賃金と年間賞与の1か月平均額を加えた月額とも、全職種平均の上昇率を上回った。

 

特積と一般を合わせた男性運転者全体では、1人1か月平均賃金が32万4100円(2.8%増)、年間賞与の1か月平均額を加えた月額が35万9300円(4.7%増)となり、男性運転者全体の1人1か月平均賃金と年間賞与の1か月平均額を加えた月額が前年を上回るのは、そろって4年ぶり。

 

男性運転者の賃金を職種別にみると、高い方から、特積では大型、けん引、普通の順となり、一般ではけん引、大型、普通の順になっている。大型運転者と普通運転者の賃金格差は、特積では1人1か月平均賃金で8万300円(前年5万8400円)、年間賞与の1か月平均額を加えた月額で7万9500円(同5万9400円)と前年より拡大している。一般の場合も、1人1か月平均賃金で5万200円(同4万5600円)、年間賞与の1か月平均額を加えた月額で5万3500円(同5万1900円)となり、格差が広がっている。

 

男性運転者の賃金を業種別に比較すると、1人1か月平均賃金と年間賞与の1か月平均額を加えた月額で、けん引運転者を除く職種で特積の方が一般を上回っており、大型運転者の賃金をみると、特積と一般の賃金格差は、1人1か月平均賃金で4万7500円(前年2万7900円)、年間賞与の1か月平均額を加えた月額で6万100円(同1万9500円)と格差が広がった。

 

トラック運送事業従業員の平均年齢は、男性運転者(けん引、大型、普通)が43.6歳と前年より0.2歳上昇し、全職種平均では43.1歳(同42.7歳)となっている。

 

職種別賃金構成
支給形態別にみると、歩合給(運行手当など)、時間外手当(早出、残業、深夜、休日出勤手当など)などの変動給に占める割合は運転者が高い。男性運転者のなかで、変動給の占める割合が高いのは概して特積で、大型運転者が63.3%、普通運転者が53.0%、けん引運転者が51.8%と、いずれも5割を超えている。男性運転者を前年と比較すると、特積の大型運転者と一般のけん引、大型、普通運転者で変動給の占める割合が高まっている。

 

変動給の内訳は、男性運転者では歩合給の占める割合が高くなっており、特積のけん引、大型、普通運転者では6割を超えており、一般でもけん引、大型運転者で5割を超えている。最も低い一般の普通運転者でも48.9%になる。前年に比べ歩合給の占める割合は、特積の普通運転者、一般の大型、普通運転者で割合が高くなっている。

 

変動給のうち、時間外手当の支給額を男性運転者からみると、特積では普通運転者を除くけん引、大型運転者で、一般ではすべての職種で前年より増加しており、特積の大型運転者では月間8900円増加している。

 

年齢階級別賃金格差
賞与を含む平均賃金を年齢階級別にみると、20歳-29歳を100とすると、40歳-49歳が127.1(前年128.1)で最大となり、次いで50歳-59歳の126.3(同128.0)となっている。全産業での男性労働者の賃金を年齢階級別は、25歳-29歳を100とした場合、50歳-54歳が173.4と格差が最も大きく、次いで45歳-49歳の170.8となっている。