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物流の人手不足、SNSが賃金問題に火をつける

2026年2月18日 (水)

ロジスティクストラック運転手の不足が深刻さを増すなか、物流業界を巡るSNS上の議論が賃金問題に集中している。「ドライバー不足ではなく、報酬不足だ」という声が相次ぎ、外国人採用やAI(人工知能)導入で乗り切ろうとする大手の動きに対しても「本質的な解決にならない」という悲観論が現場から上がる。ただ業界が直面するのは賃金だけにとどまらない複合的な構造課題であり、労働力を物流に引き寄せるトレンドそのものを作れていないことへの危機感が広がっている。(編集長・赤澤裕介)

ある運送会社の求人では、3人の枠に13人が応募したという。賃金水準を改善すれば人材は集まるという実例で、「人手不足」という言葉が実態を正確に表していないことを示している。コールセンターのオペレーターより時給が500円低く、通勤手当もない──そうした条件では若手が選ぶ理由がない。コロナ禍で「社会を支える仕事」の価値が認識されながら、処遇が変わらなかったことへの怒りが、いまSNS上で改めて噴き出している。賃金と並んで、運送業を「きつい、汚い、危険」と見なす職業イメージの低さが若手の流入を阻む要因としても指摘されており、待遇改善と並行してイメージ刷新が求められている。

24年の残業規制強化への対応が業界全体に重くのしかかっている。長距離輸送を2人で分担する形態が広がり、1人あたりの手取りが減る。手取り減→離職増→残った人間への負担増という悪循環が、対応力の乏しい中小の運送会社を中心に進行している。

外国人採用もAIも、構造課題には届かない

ヤマトホールディングスが500人、SBSホールディングスが1800人の外国人採用計画を打ち出し、国全体では2万人規模に達する見通しだ。政府も方針として後押しする。だがSNS上の反応は厳しく、「日本人をまず雇え」「育成する余裕がない現場に外国人を入れても本末転倒だ」という声が反対論の主流で、「低賃金で使い捨てにするだけだ」という批判も目立つ。

物流向けAI市場は32年に向けて急拡大するとの予測があり、自動運転スタートアップのT2は32年までに4000人分の労働力代替を見込む。ただ自動化が進む倉庫とラストワンマイルを担う人間の間の溝は埋まっておらず、物流網全体をカバーするには時間がかかる。賃金改善も技術導入も、物流を「選ばれる産業」にするための複合的な取り組みの一部に過ぎない。

改正物流効率化法が施行されることしは、対応力のある企業とそうでない企業の二極化が鮮明になる年でもある。帝国データバンクの調査では、人手不足を起因とする倒産が過去最多の427件に達し、物流業は52件で業種別トップとなった。

本誌は4月、東京でワンロジ(東京都新宿区、吉岡泰一郎社長)との共催により「運びとキャラバン」を開催し、ドライバーの賃金・待遇問題を含む業界の構造課題を正面から議論する場を設けることにしている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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