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北海道物流シンポで課題解決に向けた議論白熱

2026年2月24日 (火)

ロジスティクス経済産業省北海道経済産業局は20日、「北海道地域物流シンポジウム2026」を開催した。16日から1週間にわたり展開された「北海道物流WEEK2026」の締めくくりとなるメインイベントの一つ。

本シンポジウムは「持続可能な北海道物流の未来を拓く」をテーマに、札幌市内の会場とZoom配信によるハイブリッド形式で実施された。会場には荷主事業者や物流事業者ら130人、オンラインでは200人が参加し、北海道が直面する物流課題の解決に向けた議論が行われた。

プログラムの前半では経済産業省北海道経済産業局産業部次長の藤田真理子氏による挨拶に続き、同産業部産業振興課の小島健氏が「北海道経済産業局の物流効率化の取り組みと改正物流効率化法について」講演。

小島氏は、北海道が広大な都市間距離や道央圏への人口集中により配送効率が低下しやすい「物流課題の先進地域」であると指摘。特に基幹産業である農業において、運べなくなる事態は地域事業者の存続に直結すると危機感を示した。一方で、北海道で培われる効率化のノウハウは全国の過疎地域でも活用可能であり、商慣行の見直しや積載率の向上を図る「フィジカルインターネット構想」の重要性を説いた。小島氏は、積載率が50%を超えれば輸送力不足は解消する見通しであるとし、改正物流効率化法の施行を見据えた官民連携の加速を呼びかけた。

こうした行政の構想を具現化する取り組みとして、運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)理事でtraevo(トラエボ、東京都港区)社長の鈴木久夫氏が「共同輸配送データベース&デジタルマッチングシステム」について講演。デジタル技術を活用した効率的な輸配送の可能性を提示した。

運輸業の99%を占める中小企業が連携し、一社では解決困難な課題に挑む基盤として、2025年8月にサービスインした共同輸送相手探索サービス「traevo noWa」(トラエボ・ノワ)が紹介された。同サービスは企業名を伏せた匿名での利用が可能で、2026年2月からは有償版の提供も開始されている。

2024年12月から25年1月末にかけて北海道で実施された実証事業では、44事業者から1743ルートの登録があり、そのうち5%にあたる82ルートでマッチング候補が見つかるという具体的な成果が上がった。登録事業者の2割以上がマッチングの可能性を見出すなど、デジタルマッチングによる共同配送の有効性が実証データによって示されたと。この取り組みは現在、北海道での成功をモデルに全国へと展開を広げている。鈴木氏は「積載率を高めて持続可能な物流に貢献したい」と締めくくった。

また、ドーコン(札幌市厚別区)からは、北海道の重要課題である「水産物流の効率化・標準化」に向けた実証成果が報告された。北海道最大の消費地は札幌だが、水産物の産地の多くは道北やオホーツクなどの遠隔地。ドライバー1人では1日で運べない地域が多い。また冬期は荷物が少ないなどの季節波動もある。産地の多くでは、水揚げピーク時に車両の手配がつかないことや、帰り荷がないことなどが課題となっている。ほかの農水産品産地と同様に、荷姿が多様であることも、物流効率化の障害となっていた。

同社ではETCのプローブデータを元に、遠隔地からのトラックは、中継拠点に立ち寄りながら積載率を高める運行が多いことを解明。人手と輸送力の不足を補うために、同社では産地から一次集約拠点に荷物を集約、さらにそれを二次中継拠点に集約することで効率化を図る実証実験を実施している。

昨年11月に行われた1回目の実証実験では、これまで個別に札幌まで運ばれていた雄武町などからの荷物を門別町に集約。荷物をまとめてから札幌へと輸送を行った。3月にはさらに発地を増やし、旭川市などの中継拠点に集約してから輸送を行う実証実験を行う。実験では、総輸送時間、燃料費、CO2排出量は半分に減少し、積載率を4-5倍近く向上することができたという。

後半の事例紹介では、エア・ウォーター物流(札幌市中央区)が24年問題を受けた荷主との課題解決策について発表し、民間企業における具体的な改善アクションを共有した。同社では乳製品メーカーにリードタイムを1日長く取ってもらうことで積載率を向上するとともに、ドライバー、センター作業員の拘束時間を短くすることができたことが報告された。

最後に、北海商科大学の相浦宣徳教授が「北海道物流WEEK 2026総括と未来に向けて」と題して講演。1週間にわたる一連のイベントを振り返り、持続可能な物流の実現に向けた今後のビジョンを締めくくった。(土屋悟)

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