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日本郵船350社SAP統合、最優秀賞

2026年3月10日 (火)

認証・表彰海運業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が加速し、クラウド型業務システムの導入が広がっている。こうしたなか、日本郵船が本店と子会社350社の会計システムをSAPの最新クラウドサービス「S/4HANAクラウド・パブリックエディション」(S/4HANA Cloud Public Edition)に一本化したプロジェクトが、SAPジャパンのパートナー表彰で最優秀賞「プロジェクト・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。

この種のクラウド型SAPの導入規模として国内最大(25年12月時点)。海運大手によるクラウドERPの全面移行は日本ではまだ例が少なく、物流企業のシステム刷新を考えるうえでも注目される。プロジェクトを推進したコンサルティング会社のシグマクシス(東京都港区)が10日発表した。(編集長・赤澤裕介)

シグマクシスはこのほか個人賞と協業賞でも選ばれ、3部門での受賞となった。

▲SAPジャパン・パートナー表彰における主な受賞内容(クリックで拡大)

日本郵船はデータに基づく素早い経営判断を実現するため、これまで複数のシステムに分かれていた会計の仕組みを一つにまとめた。経理処理、原価管理、為替や借入の管理、資金繰り、グループ内の資金の集中管理といった5つの機能を一括で導入し、2025年7月に稼働を始めている。

大規模な業務システムの導入では、自社の業務に合わせてシステムを個別に作り込む「アドオン開発」が膨らみがちで、これがシステム更新を難しくする最大の原因になる。日本郵船の旧システムではこうした個別開発が450件あったが、今回はシステムの標準機能に業務のやり方を合わせる方針を徹底し、1割まで減らした。その効果は早くも表れており、稼働直後の25年8月に行われたSAPのシステム更新にも追加の開発なしで対応できた。日本郵船は今後、この基盤の上で生成AI(人工知能)を活用し、定型業務の自動化や経営分析の高度化を進める。

プロジェクトには複数の企業が役割を分担して参加した。シグマクシスが全体の進行管理を担い、SAPジャパンが独本社と連携して標準機能の拡充に対応。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が周辺システムとのつなぎ込みを開発し、日本郵船のシステム子会社NYKビジネスシステムズがデータの移し替えを受け持った。個人賞のSAPマイスターIQは、昨年の稲荷裕氏に続きシグマクシスから2年連続の選出となった。

(出所:シグマクシス)

物流DXの指標事例に

シグマクシスは18年からSAPクラウドの導入支援を手がけ、近年は物流分野のコンサルティングにも力を入れている。19年にはトラックや倉庫など物流資源を企業間で共同利用する「フィジカルインターネット」の実現を目指す異業種の勉強会「エコオケの会」を立ち上げ、200名が参加。25年にはこのテーマのホワイトペーパーを公開し、フィジカルインターネット研究の第一人者バロー氏を招いた「グローバルCLOサミット」も開催した。

日本郵船のようなグローバル物流企業では、子会社を含めた会計・業務データの統合が経営判断のスピードに直結する。350社規模でクラウド型の業務システムへの統合を完遂し、個別開発も大幅に減らした今回の事例は、物流企業がシステム刷新に踏み切る際のひとつの指標になりそうだ。​​​​​​​​​​​​​​​​

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