行政・団体ホルムズ海峡の事実上の封鎖から25日目の24日、赤澤亮正経済産業相は閣議後の記者会見で、ホルムズ海峡を通らない代替ルートを利用した原油タンカーが28日に日本へ到着する見込みだと明らかにした。サウジアラビアのヤンブー港、アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港から出航した2隻で、4月5日にも追加の到着が見込まれている。(編集長・赤澤裕介)
迂回ルートは動いたが、量は埋まらない
今回の発表は、ホルムズを通らない原油輸送が実際に機能し始めたことを示す初の具体例だ。ただし、供給不足の解消を意味するものではない。
代替ルートの中核となるサウジアラビアの東西パイプライン(ペトロライン)は、東部油田から紅海側のヤンブー港まで原油を輸送する。ただし重要なのは、パイプラインの能力と港の積み出し能力が一致していない点だ。パイプラインは日量700万バレル規模の輸送能力を持つ一方、ヤンブー港で実際にタンカーへ積み込める量は戦時条件下で日量300万-400万バレル程度にとどまるとされる。
つまり、原油を紅海側へ送れても、そこから先の輸送量が制約される。ホルムズを通っていた供給をそのまま置き換えることはできない。
中東からの原油輸送は22日の千葉入港を最後に細っている。船舶追跡データでは、日本向けタンカーがペルシャ湾内で滞留している状態が確認されており、以降は供給が大きく細る期間に入っている。この間を支えるのが備蓄だ。政府は民間備蓄の義務量引き下げに加え、国家備蓄の放出にも踏み切る。民間15日分と国家1か月分の備蓄が動くが、これはあくまで時間を稼ぐ措置だ。
国家備蓄は原油で保管されており、払い出しから精製、流通を経て軽油として届くまでには時間がかかる。民間備蓄には製品も含まれるが、放出分が末端まで行き渡るには流通の調整が要る。迂回ルートが動き始めたこと自体は前進だが、物流企業にとっての焦点は別にある。原油が来るかではなく、軽油が供給されるかだ。パイプラインで輸送できるのは原油であり、軽油やナフサといった精製品の代替輸送は容易ではない。備蓄放出で原油の量は確保できても、製油所の稼働と流通のタイミング次第で、軽油の供給は不安定になる。原油の迂回が始まったことと、軽油の供給が安定することは別の問題だ。
迂回ルートは存在する。備蓄もある。だが量とタイミングの両方に制約がある。物流企業にとって問われているのは、原油価格の動きではない。自社の運行エリアで軽油が安定的に確保できるかどうかだ。供給は「あるかないか」ではなく、どの形で届くかに変わりつつある。
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