国際ホルムズ海峡の通航制約が続くなか、物流企業には軽油の供給制約を前提とした備えが必要な局面に入っている。ブレント原油が急落しても、日本が調達するドバイ・オマーン原油は高止まりしたままだ。価格だけでなく、調達そのものが滞るリスクにどう備えるか。実務対応を8項目に整理した。(編集長・赤澤裕介)
最初に手をつけるべきは(1)の残量把握だ。自社の燃料タンクにどれだけ残っているかを「量」ではなく「時間」で把握する。リットルや本数ではなく、あと何日走れるかに換算する。拠点別に分解すれば、どの営業所から手を打つべきかが見える。
残量を把握したら、次は(2)の調達ルートだ。1社・1拠点への依存は供給制約局面では最大のリスクになる。既存のガソリンスタンドだけでなく、元売りの直売ルートや特約店との取引を複線化する。太平洋側の製油所が在庫を絞っている場合でも、内陸や日本海側に相対的な余力が残っている場合がある。契約の有無よりも「入手可能性」の確保が先だ。
(3)のサーチャージ条件は、見落とすと損失に直結する項目だ。燃料サーチャージの発動条件が月次の場合、原油が週単位で動く局面では価格転嫁が追いつかない。固定契約で価格転嫁の余地がないケースはさらに深刻で、調達コストの上昇をすべて自社で吸収することになる。発動条件、反映までのタイムラグ、上限・下限の有無を今すぐ点検する必要がある。
供給がひっ迫した局面では、(4)のように「全部運ぶ」という前提そのものを見直す判断が求められる。止められない貨物とそうでない貨物を分け、限られた燃料で何を優先するかを決める。
(5)と(6)は地味だが効果が大きい。空車回送を1便減らし、積載率を数ポイント上げるだけで、1日あたりの燃料消費は目に見えて変わる。アイドリングの禁止や無駄な加減速の抑制も同様で、現場の1-2%の改善が会社全体の燃料持続日数を延ばす。売上よりも燃料効率を優先する局面だ。
判断基準、価格から供給へ
(7)は情報の取り方の問題だ。ブレント原油が14%超の急落を記録した23日、「原油が下がった」という見出しが各所で流れた。しかし日本の軽油価格に直結するのはドバイ・オマーン原油であり、こちらは高止まりしたままだ。ブレントの動きだけを追っていると判断を誤る。店頭価格ではなく、船舶の動向、製油所の稼働状況、元売りの在庫水準といった供給側の情報を追うべき局面に入っている。
(8)の最悪シナリオとは、軽油が買えない状態だ。ホルムズ海峡の通航制約が長引けば、地域的な欠品や給油制限が現実になりうる。その場合に備えて、鉄道や内航船による代替輸送の可能性を今の段階で調べておく。顧客への事前通知も早いほうがよい。契約上の免責条件(不可抗力条項)がどうなっているかも、起きてからでは確認が間に合わない。
今回の局面で最も危険な判断の誤りは、価格が下がるかどうかだけを見ていることだ。本当に見るべきは、次の調達が確保できるかどうかである。物流企業の判断基準は、価格から供給へ移りつつある。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。
































