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医療機器物流、2024年問題で構造課題顕在化

2026年3月31日 (火)

行政・団体厚生労働省は30日、「第11回医療機器の流通改善に関する懇談会」を開催し、物流2024年問題を中心とした医療機器流通の課題と対応状況を整理した。医療機器物流は多品種・小ロット・緊急対応といった特性を持つため、一般貨物以上に輸送制約の影響を受けやすく、制度対応を超えた構造的な見直しが求められている。

最大の論点は、ドライバーの時間外労働規制による輸送力低下だ。これにより、配送リードタイムの長期化、納品回数の減少、長距離輸送の分断といった影響が現実化しつつある。特に医療機器では、納品遅延が診療や手術の遅れに直結するリスクがあり、一般物流とは異なる重大性を持つ。加えて、輸送品質の低下や緊急配送の困難化も指摘される。従来は1日に複数回の納品が可能だったが、今後は納品頻度の維持が難しくなり、医療現場の柔軟な運用を支えてきた物流機能に制約がかかる構図だ。

コスト面でも影響は広がる。運送業者の人件費増や燃料費高騰を背景に、物流コストは上昇傾向にあり、製造販売業者や販売業者を通じて医療機関への価格転嫁圧力が強まっている。一方で、医療機器には償還価格という制度上の制約があり、価格転嫁には限界がある。この構造が流通段階の収益を圧迫する要因となっている。

業界特有の商習慣も非効率の要因として浮上した。無償の適正使用支援業務や貸出品対応、複雑なトレーサビリティー管理などが追加コストを生む一方、契約や対価の整理が進んでいない。また、受発注の多くがファクスや電話に依存しており、デジタル化の遅れが物流負荷を増幅している。

こうした課題に対し、業界では在庫の積み増しや早期発注、納品ルールの緩和、まとめ発注といった対応が進められている。実際、販売業者の在庫増加により物流逼迫の影響が一定程度緩和されたとの分析もある。一方で、在庫増はコスト増と表裏一体であり、持続可能な解決策とは言い難い。

より本質的な対応としては、共同配送の推進やEDI導入による受発注の効率化、パレット化・自動化による物流現場の改善、モーダルシフトなどが挙げられる。ただし、いずれも一部企業にとどまり、業界全体への波及は限定的だ。特にEDIは導入率が3割台にとどまり、中小事業者の対応遅れが課題となっている。

さらに、25年施行の改正物流効率化法への対応も新たな論点となっている。一定規模以上の事業者には効率化計画の策定が求められるが、医療機器物流は品質管理や緊急性の観点から単純な効率化が難しく、制度と実務の間にギャップがあるとの指摘が出ている。

今回の議論では、個社対応の限界も明確になった。物流コストの上昇や輸送制約はサプライチェーン全体に波及するため、製造販売業者、販売業者、医療機関が一体で対応する必要がある。特に、納品時間の柔軟化や発注分散など、医療機関側の運用見直しも不可欠とされた。

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