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取適法違反で勧告39件、物流は無償荷役に照準

2026年5月15日 (金)

調査・データ公正取引委員会は13日、4月時点の「公正取引委員会の最近の活動状況」を公表した。物流分野では、1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法)で「特定運送委託」が規制対象に加わったことを踏まえ、荷主と運送事業者の取引適正化に向けた執行・監視体制を強めている。

取適法は、従来の下請法を改正したもので、製造委託や修理委託に加え、運送、倉庫保管、情報処理などの役務提供委託を対象に含む。新たに特定運送委託も規制対象となり、委託事業者には発注内容の明示、取引書類の作成・保存、受領後60日以内の支払期日設定などが義務付けられた。支払遅延、減額、買いたたき、不当な経済上の利益提供要請、協議に応じない一方的な代金決定などは禁止行為にあたる。

物流取引で特に問題となるのが、運賃とは別に発生する荷待ち、荷役、付帯作業の扱いだ。2025年度の主な勧告案件では、センコーに対する貨物運送業の事案が示された。同社は貨物の運送を委託した下請事業者に対し、自社が管理する施設内で無償の荷役作業や付帯業務を行わせ、無償で長時間の荷待ちも行わせていたとされた。

この事案は、物流現場で長く問題視されてきた「運ばせる」以外の作業負担に公取委が踏み込んだ点で意味を持つ。荷役や待機は、現場では商慣習として処理されがちだが、拘束時間や人件費、車両稼働率に直結する。対価を伴わないまま運送事業者に負担させれば、実質的な買いたたきや不当な利益提供要請に近い構造となる。

公取委と国土交通省の連携も具体化している。取適法で特定運送委託が対象に加わり、事業所管省庁にも委託事業者への指導・助言権限が付与されたことを受け、両者は25年10月から11月のトラック・物流Gメン「集中監視月間」に合わせ、全国規模で合同荷主パトロールを実施した。荷主事業者の営業所や物流拠点を訪問したほか、高速道路のサービスエリアなどでトラックドライバーから聞き取りを行い、取適法違反や改正物流法上の違反原因行為の把握を進めた。

企業取引研究会でも、物流に関する商慣習は主要論点の一つとなった。検討対象には、発荷主と運送事業者の取引だけでなく、着荷主が関係する不当な荷待ち・荷役も含まれる。運送契約の直接当事者ではない着荷主が、納品現場で待機や荷役を発生させるケースは多い。公取委は、物流特殊指定の改正や新たな特殊指定の策定を通じ、こうした取引構造にも対応する方向を示している。

25年度の取適法違反被疑事件全体では、勧告39件、指導8261件の措置を講じた。行為類型別では、支払遅延が3787件と最も多く、減額1323件、買いたたき1006件、不当な経済上の利益提供要請454件、やり直しなど332件が続いた。中小受託事業者への原状回復は総額25億5698万円相当に上り、5165事業者が返還などを受けた。

物流分野では、燃料費や人件費の上昇を受けた価格転嫁も重要な監視対象となる。公取委は、労務費の適切な転嫁に関する指針で、発注者側からの定期的な協議、経営トップの関与、公表資料を用いた説明、交渉記録の作成などを求めている。長年同じ単価で更新されている取引や、実態として継続取引であるにもかかわらずスポット取引として扱われる取引では、協議を行わず価格を据え置くことが問題となり得る。

公取委は26年度、取引適正化検査管理官や上席取引適正化検査官、地方事務所の取引適正化管理官を新設・振替し、取引適正化関連で59人の定員増を図る。

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