調査・データ日本貨物鉄道(JR貨物)は15日、「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」中間とりまとめを踏まえて設定したKGI/KPIの2025年度実績を公表した。重要目標達成指標であるコンテナ輸送トンキロは161.6億トンキロとなり、必達目標の196億トンキロ、チャレンジ目標の209億トンキロを大きく下回った。鉄道へのモーダルシフト需要は一定程度高まっているものの、荷動き全体の弱さや自然災害による輸送障害、利用分野の広がり不足が重なり、数値目標との距離が残る結果となった。
25年度の国内景気は緩やかな回復基調にあったが、米国の通商政策や中東情勢の混乱などにより先行き不透明感が続いた。品目別では、中央新幹線建設工事に伴う発生土輸送によりエコ関連物資が前年を上回ったほか、一部顧客で増送が続いた自動車部品、ドライバー不足を背景に鉄道利用が増えた積み合わせ貨物も増加した。一方、食料工業品では一部顧客の出荷停滞が響き、農産品・青果物も減送となった。雪害や大雨など自然災害の影響もあり、輸送量は前年度比1.6%増にとどまった。
トンキロベースでは、中距離帯の利用増加や北海道発着輸送の減少に伴い、平均輸送距離が879キロから854キロへ短縮したことが影響し、前年度比1.2%減となった。鉄道貨物は長距離輸送で効率を発揮しやすい一方、利用距離が短くなるとトンキロの伸びにはつながりにくい。荷量の確保だけでなく、どの距離帯・品目で鉄道利用を増やすかが引き続き課題となっている。
輸送力活用の指標である積載率は、必達目標76.5%、チャレンジ目標81.2%に対し、実績は72.6%だった。JR貨物は、グループ会社と連携した総合物流体制の構築、貨物駅の物流結節点機能強化、31フィートコンテナや定温コンテナのラウンド輸送提案、CLO(物流統括管理者)を選任した荷主への働きかけなどを進めた。ただ、食料工業品や農産品・青果物の減送が影響し、積載率の改善は目標に届かなかった。
これまで限定的な扱いとなってきた貨物への対応でも、主要指標は未達が続いた。定温コンテナ輸送は20年度比10.6%増で、目標の11.2%増を下回った。31フィートコンテナ輸送は同15.8%増で、目標の17.4%増に届かなかった。中距離帯輸送は8.5%増にとどまり、目標の23.8%増との差が大きかった。定温や31フィートでは需要の高まりがある一方、自然災害による輸送障害や、特積事業者以外への利用拡大が十分進まなかったことが響いた。中距離帯ではニーズはあるものの、輸送力を大幅に増強するほどの需要には至っていないとしている。
一方、インフラ整備や災害対応では進捗もみられた。積替ステーションは、25年度目標の対象22駅に対し23駅で設置を完了した。25年度は帯広貨物、苫小牧貨物、仙台貨物ターミナル、石巻港、山形ORS、横浜羽沢、静岡貨物、名古屋貨物ターミナルの8駅で整備した。輪重測定装置・トラックスケールなども対象95駅への整備を完了し、33駅で追加整備を実施した。BCP(事業継続計画)対策では北海道地区と北東北地区で官民一体の検討会を開き、有珠山噴火や大雨による鉄道路線寸断を想定し、トラック・内航海運による代行輸送強化の課題を議論した。
国際海上コンテナの海陸一貫輸送では、横浜本牧-宇都宮貨物ターミナル間の事業で駅見学会を重ねたが、運賃競争力を確保できず、主要荷主の低迷もあって利用は伸び悩んだ。低床貨車については試作車2両が落成し、26年1月から3月に走行試験を実施したものの、持続可能なスキームの構築には至っていない。小口混載・共同輸送の定期ルート化も、想定した荷主や荷量を確保できず商品化に至らなかった。
他モードとの連携では、JR貨物ロジ・ソリューションズが「総合物流事業システム」を構築し、見積もり、受注、精算、請求までの流れを一元管理できる体制を整えた。レールゲートからの発送は1万3721個となり、24年度比79%増と目標を大きく上回った。貨物駅の高度利用では、コンテナ留置レイアウトの見直しなどにより290個分のキャパシティを生み出し、累計1050個分まで拡大した。一方、パレットデポは22駅目標に対して14駅にとどまり、11型パレットの回送など運用面の課題が残った。
社会・荷主の意識改革に関する指標では、鉄道総研の協力を得て貨物輸送による消費エネルギー概算手法の精度を確認し、貨物駅間別のCO2排出量マトリックスを算定。荷役作業に伴うCO2排出量の試算も行った。モーダルシフトによるCO2削減効果をJ-クレジット化する仕組みについては、関係機関との調整を進めたものの、制度内容の整理に時間を要しており、インセンティブ案の確定には至らなかった。
鉄道貨物は脱炭素やドライバー不足対応の受け皿として期待される一方、利用拡大に向けて運賃競争力、輸送安定性、荷主側の出荷条件、駅での結節機能、片荷解消といった課題が残る。設備整備やシステム化では進捗がみられるものの、KGI(重要目標達成指標)であるトンキロの回復にはなお時間を要する状況だ。
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