調査・データボストンコンサルティンググループ(BCG、米国)とBCGヘンダーソン研究所は4日、AI(人工知能)を活用した「未来型工場」が製造業に与える影響を分析したレポートを発表した。世界の製造業1000社を対象にした調査と定量分析をもとにしたもので、未来型工場への移行により、生産性が最大60%向上する可能性があるとした。
未来型工場は、AIを使って生産体制全体を再設計し、エネルギー効率、原材料使用量、歩留まり、生産効率を同時に改善する工場を指す。エージェント型システムの進化や、予知保全、自律制御、ロボット訓練の高度化に加え、計算能力の向上により、高度な分析やシミュレーションを低コストで実行しやすくなったことが導入を後押ししている。
BCGは、今後の工場立地では労働コストや物流コストだけでなく、拠点をAI活用型工場へ転換できるかが競争力を左右するとみる。地政学リスクやサプライチェーンの不安定化が続くなか、生産の地産地消化や供給網の強靱化を進める企業にとって、未来型工場は海外移転に代わる選択肢になり得る。
高コスト国では、AIを活用した工場高度化が海外移転より有利になるケースもあるという。例えば、ドイツ市場向け食品加工では、現状の生産コストはドイツ国内と中国で大きな差がないが、双方が未来型工場に移行した場合、ドイツ国内生産が中国より14ポイント優位になると分析した。一方、バッテリーセルでは中国の優位が残る見通しで、効果は業界特性や地域のエネルギーコスト、自動化余地、物流費比率によって異なる。
未来型工場の導入準備度では、日本は3位と評価された。強固な通信ネットワークと高技能人材が強みとされる。BCGは、日本が自動車、産業機械、電機製品で中国や南アジア、東南アジアとの競争に直面するなか、未来型工場が競争力低下を反転させる可能性があると指摘する。製造拠点の配置や国内回帰を巡る判断では、物流コストだけでなく、AIによる生産性改善と供給網リスクの抑制を一体で見る必要が高まっている。
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