国際欧州委員会は6月30日、世界的な鉄鋼過剰生産による域内産業への影響を抑えるため、鉄鋼輸入に関する新規制を7月1日から適用すると発表した。従来の鉄鋼セーフガード措置が6月30日に失効したことを受け、後継措置として無税輸入枠を縮小し、枠外輸入に高関税を課す。
新制度では、EU域内に無税で輸入できる鉄鋼製品の年間枠を1830万トンに設定する。対象は26分類の鉄鋼製品で、従来のセーフガード措置下の割当量に比べ、平均47%削減する。割当枠を超えた輸入には50%の関税を課す。欧州委員会は同日、国・地域別の関税割当配分を定める実施規則も公表した。
年間枠の半分にあたる915万トンは、EUと自由貿易協定(FTA)を結ぶ相手国向けに限定して配分する。残る半分はFTA相手国を含むすべての貿易相手が利用できる枠とした。EUによると、域内の鉄鋼輸入の80%はFTA相手国からであり、新制度ではFTA相手国への影響を抑えつつ、域内鉄鋼産業の保護効果を確保する設計にした。
関税割当の配分は、EUの新たな鉄鋼規則に基づく基準で決める。第三国の供給者に対して一定の市場アクセスを確保し、EU域内の鉄鋼利用産業にとっても供給先の多様性を保つ狙いがある。FTA相手国は、平均47%の削減幅よりも高い水準のEU市場アクセスを維持できるとしている。
EUは、新制度について世界貿易機関(WTO)のルールに沿うものと説明している。2025年10月に措置を提案して以降、GATT第28条に基づき、複数の貿易相手と協議を進めてきた。欧州委員会によると、相当数の相手国が割当配分に暫定的に合意した。
新規制では、輸入鉄鋼のトレーサビリティー要件も導入する。企業は、対象製品の製造過程で「melt & pour」と呼ばれる溶解・鋳造工程がどこで行われたかを示す情報を提出する必要がある。原産地や製造工程の確認を通じ、EU鉄鋼サプライチェーンの透明性を高める。
欧州委員会は、世界の鉄鋼過剰生産能力が現在6億2000万トン超に達し、今後7億2100万トンに拡大する可能性があると指摘する。各国が輸入制限を強めるなか、EU市場に輸入が集中するリスクが高まっているとして、域内産業の雇用維持や脱炭素投資の余力確保につなげる考えだ。
実施規則は緊急手続きにより適用され、EU加盟国は欧州委員会による採択後14日以内に投票する。規則の効力は最長6か月で、欧州委員会は2026年末までに通常手続きで加盟国委員会に再提出する。WTOでのGATT第28条協議も継続する。
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